美瑛マジックにかかる
この時期、ラベンダーを見たいと富良野のファーム富田に行きたいというお客さんが多い。多いということは、当然そこは混雑するということ。 先日、お客さんに前情報を伝えるため、ファーム富田に電話し混雑状況を聞いた。 「やっぱり混雑してますか?」 「そうですね、沢山の方にいらしていただいています」 「駐車場に入るまでも渋滞していますよね」 「いいえ、停滞しています」 「そうですよね」 「外国の方が多いと聞きますが」 「はい、9割ぐらい外国の方だと思います」 とこのような感じだ。 美瑛・富良野では北海道の雄大な景色を見ながら静かに過ごしたいと思って来る方が殆どだと思うが、特に花が好きだというような人を除き、花を見ているのか人を見ているのか分からないところへ無理して立ち寄らなくても良いのではと思う。 この時期、麦の穂が実りジャガイモの花が咲く広大な美瑛の丘を普通にドライブしているだけで、とてもリフレッシュできる思う。 とてつもなく広い畑の向こうに見えるのは、トラクターと軽トラだけというような静かで見晴らしの良いところもあり、そんなところで深呼吸してほしい。 先日、以前シュカブラに泊まられたお客さんに用事がありLINEした。 彼女は厳冬期にいらしたのであるが、4日間で冬の真っ白な丘を10時間以上、一緒にドライブし、雪の日や晴の日、ダイヤモンドダストや満天の星空に大満足だった。 LINEのやり取りの中に「次回は櫻井さんのお勧めしない8月に行きます」と書かれていたが、まあ自分は秋や冬の方が好きなので、その季節をお勧めしているが、グリーンシーズンも決して悪くはなく農業景観は素晴らしいし、夏はなんといっても野菜が美味しい。ただ、折角都会から来るのだから人混みで酷い所謂観光スポットは、なるべく避けるか混雑する時間を外した方が良いなぁと思うのである。 LINEにはもう一つ、「また、櫻井さんマジックで楽しみたい」と書かれていた。 丘案内や自然現象の情報提供などを喜んでくれたのだと思っており、とても嬉しいのだが、決して特別なサプライズをしたわけではなく、彼女が感じたマジックとは、自然と調和し暮らす人々が築き上げた美瑛という地そのものと、それを受け入れた彼女自身の心ではないだろうか。僕はそれが少しでも感じられるよう、ほんの少しのサポートをしただけであり、それが、僕が宿をやる理由である。