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About 櫻井剛

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人間なんて、ララーララララ、ラーラ♪

セブンスターの木の近くの白樺並木が伐採された。 伐採された経過は、美瑛町役場HPの美瑛町景観審議会(農業、観光業、飲食業、写真家等の町民で構成される町の諮問機関)で議論された記録が、公式なものとして掲載(令和6年度 第3回)されている。 その内容は次のとおりである。 ・白樺並木の日陰になることによる農作物の減収 ・落ち葉や訪問者が捨てるゴミを片付ける労力に苦慮 ・並木周辺で写真撮影する観光客が密集し、道路通行に著しい弊害が出ている という理由から、木の所有者から伐採したいと町に承認の要望があった。 これを受け、伐採について同審議会で審議された。 セブンスターの木は町の「重要景観樹木」に指定されているが、白樺並木はこれに該当しないとのことで、伐採は所有者の裁量によるという見解が示された。 公開されている資料を読むと、このように記載されているのであるが、たまたま同じ町内会に住む町長から町内会の新年会の場で聞いた話は、「実は、並木は町の道路用地に生えている」ということであった。町有地に生えているということは、立木法により登記されている樹木でない限り、基本的には土地の所有者のものになるため、白樺は町のものということになる。 審議会で示された所有者と異なるのである。 町の諮問機関で説明されている内容と違うとは、一体どういうことなのだろうか。 また、町議会議員や近隣の農家から聞いた話も少しずつ違うのである。 ただ、これらの話を自分なりに整理すると、何となく見えてくるものがあるが、推測を含むため、ここでは書かない。 今回、並木が伐採されたことで、全国ニュースになり地元でもちょっとした騒ぎになったが、騒いでいるのは、主に観光業や飲食業、写真家の間であって、美瑛を守ってきた農家は、いたって冷静のように感じる。 審議会の資料の「町としての考え方」にも示されているように、この並木がどうこうというよりも、今のこのオーバーツーリズム(マナーを理解しない一部の観光客)が問題である。 このようなことは、地域住民の生活を脅かすばかりか、善良な観光客をがっかりさせ、悪いイメージを植え付けることになる。 今、この地に住む者として、このことが問題なのである。 ただ、視点を変えると、どうなのかなと思う部分もある。 和人が本州から北海道に入り、各地のアイヌ民族部族のリーダーを言葉巧みに騙し、殺し、土地を奪っていったという事実がある。 時代が違い方法は違うものの、外国人観光客が押し寄せ、また、外国資本が土地を買いあさり金儲けの場とすること、それを脅威と感じている人も多くいると思うが、もしかすると、それが時代の流れというものかもしれない。 人は誰しも自分や自分が大切に思っている人のことを第一に考え、色々な意見を取り入れつつも、最終的には自分の幸せのために生きる。 自分もそうである。 ただ広い視点で見ると、それは一生をよりよく終えたいという個々の人間の欲から生まれる権利意識であり、これらの出来事は、それによる地球上の小競り合いなのかもしれない。 人間は自分の考えや行動を理由を付けて正当化したがる動物、「勝てば官軍」、真にそういうことだろう。 もし、地球外生命体がいて地球を見ているとすれば、人間の行動はさぞ滑稽に映るのだろう。

2025-01-19T22:58:25+09:002025.01.19|

冬のお客様

明けまして、おめでとうございます。 とはいうものの、既に今年が始まって4日目になる。 昨年は約130組、約270名の方にお越しいただいた。 大変ありがたいと同時に、いろんな方とお話ができ嬉しく思う。 年末から年始にかけても、隙間なくお客さんに来て頂いている。 冬のため、車の運転に不安がある方が多く、飲食店への送迎や丘の案内をする機会あり、車の中で沢山の話をするのであるが、最近の傾向として、初めて北海道に来る、それが今回の冬だ、という方が増えている。 10年以上前、美瑛で冬に観光客を見かけることもほとんどなく、見かけても写真家や写真愛好家が、真っ白の雪原をカメラに収めに来ているぐらいだった。 コロナの前あたりから、雪が降らない台湾の方が訪れるようになり、コロナ明け以降は韓国の方が爆発的に増えている。 これまでの日本の方の傾向としては、夏に初めて北海道に来て、冬を勧められ、怖いもの見たさで来るような感じだった。 ただ、一旦来てみると、想像していたより寒く感じないことと、何よりも真っ白な世界と、本州と違うサラサラの雪に感動する。 そして、今シーズンの冬から初めて北海道に来るのが今回だという人が、立て続けだ。 僕が「初めての北海道が冬なんて、挑戦者ですね」というと「真っ白な雪をどうしても見たかった」という。そして、「想像していた以上に綺麗だ」と。 シュカブラという宿を始めたいと思ったきっかけは、『冬にあんな寒い北海道なんかに行くものじゃない』と誤解している、僕の出身地である三重県の人たちや東京や大阪、名古屋など都会に住む人たちに、冬の素晴らしさを伝えたいためだ。 美瑛の宿泊施設を利用する人の6割が外国人、残りの4割が日本人だとの統計があるが、シュカブラを訪れる人の約95%が日本人である。 日本に住む方に、まだまだ、自国にも素晴らしい土地や感動する季節があることを知ってほしいという思いが、少しずつではあるが届き始めていることを嬉しく思うのである。

2025-01-04T07:03:17+09:002025.01.04|

挑戦への一歩

三重県から北海道に移住して25年目、四半世紀が過ぎようとしている。 27歳で初めて北海道を旅行し、まだ何も知らないにも関わらず、いずれこの地に住みたいと思った日のことを覚えている。 それから、夏と冬の合計8回程度訪れ、30歳で北の大地に移住してきた。 親戚や知人・友人も全くいない土地で暮らす不安が全くなかったかと言えば嘘になるが、生まれ育った土地ではなく、自ら選んだ地で暮らすことが出来ることの喜びや希望の方が遥かに勝っていたし、今のこの土地で暮らすことに希望があり、移住して良かったと思うのである。 先日、首都圏から20歳代後半のご夫婦がシュカブラに来られた。 丁度、僕が初めて北海道に来た年齢と同じくらいだ。 ご主人は初めての北海道、奥さんは2回目らしい。 一緒にドライブしながら話をしていると、「どうして北海道に移住したのか」「移住して良かったか」などを聞かれ、どうも何処か田舎に移住したいような雰囲気が伝わってきたため、ストレートに「移住しますか?」と聞いてみた。 現在、ご主人はシステムエンジニアとして、ほぼ在宅勤務をされているとのことであったが、田舎で宿泊業などのサービス業や農業などをやってみたいとのこと。 ただ、田舎暮らしをするために、住む地域や仕事のことなど何から手を付ければ良いかが分からないとのことであった。 誰でも新しいことを始めるときは、同じような感覚になり、自分もそうであった。 ただ、大事なのは、本当にやってみたいと思うことがあるのなら、それに向かって小さなことでも良いから何か行動を起こすこと。一歩を踏み出さないと何も変化しないし何も起きない。 何か行動を起こしたことで、それが直接的に役に立たない場合もあるが、それもその後の成功のための糧になるはずである。 不安を感じたり、変わらずこのままでいいかなと思ってしまう気持ちも分かるが、少しでも変化を望むなら、挑戦するしかない。それが、最初は小さな挑戦であっても良い。 彼が初めて泊まる宿で、初対面の僕に対し少し遠慮気味に「北海道に住んで良かったか?」と聞いたこと、そんなことの積み重ねが、彼の挑戦の一歩一歩となり、良い方向に進むきっかけとなることを、僕は願っている。

2024-12-16T20:59:51+09:002024.12.16|

いつまでもつのか、自分の身体

『あー、腰痛い』 先々週から『痛い』日が続いている。 腰の左側が痛み出し、数日経って少し良くなりかけたと思ったら、今度は右側に移り、それが治りかけたと思ったら、左足の股関節が少し腫れて熱を持ち、立ち上がることが辛くなった。痛み止めをのみ数日過ごし、軽快したと思ったら、今度は尾骶骨あたりが痛む。 「とうとう来てしまったか」と頭を過った。 何が来たのかというと、6年半前に脊髄梗塞を患い、医師には「おそらくもう一生歩くことは出来ないだろう」と宣告されたが、半年近くの闘病・リハビリ生活の後、下半身に痺れや痛みが残って障害者になった。医師の予想に反し歩けるようになったものの、回復後も医師には「高齢になると人より早い段階で歩けなくなるだろう」と言われており、その時が来たと思ったのだ。 他人から見ると障害があるとは気づかれないぐらいに歩けるようになっているのであるが、右脚と左脚の長さが5㎝ぐらいは違うような感覚があり、歩くときにはどうしても身体が少し傾き、片側に負荷がかかっているのと、無理にバランスを取ろうとするためか、お尻の筋肉で支えようとすることが出来ず、股関節などに余計な負荷が掛かってしまうのである。 そのような歩き方・立ち方になってしまうため、このままこれを継続してしまうと、当然、人より早く歩けなくなるというのは分かるが、「まあ、65歳ぐらいまでは、大丈夫だろう」と何の根拠もなく思っていた。 結果的に今回は、関節の違和感が以前より強くなったものの、歩けなくなることには至っていないが、また、いつ悪化するか、歩けなくなる日が近いのかと不安が残る。 歩けなくなっても、宿泊業の事務仕事はできる。 ただ、草刈りや除雪、施設メンテナンス、清掃など、妻と2人でほぼ全てをこなしている。なぜ、全てを自分たちでやるか、それはその一つひとつがただの業務でなく「明日来るお客さんはどんな人かな」「今日来る方は3回目だな、気に入ってくれているんだ」などと思い浮かべ、2人の拘りアクセントを吹き込み、自然と準備に力が入るのを感じながら作業することが楽しいのだ。この楽しみを他人に任せるわけにはいかない。 いつか、それができなくなってしまう日が来ることを覚悟し、それまでの日々を楽しく過ごしたい。 いよいよ、美瑛は真っ白な世界になってきた。先週からの雪はこのまま根雪になるだろう。 冬は最高に素晴らしいが、当然、スリップ事故などの危険も伴うため、決して油断してはいけない。 冬を見たいと来てくれるお客さんが、安全に楽しめるよう、執拗にサポートしたい。

2024-12-18T17:40:48+09:002024.12.01|

冬の丘案内の準備

北海道・美瑛は、そろそろ秋を終えようとしている。 10月中旬に1回目の積雪があり、11月初旬に2回目があった。 紅葉の最後を飾るカラマツの黄色い葉もピークを過ぎた。 美瑛への観光客の7割が訪れる白金青い池にも薄氷が張りはじめているようだ。 11月に入ると美瑛に来る観光客は急に減るが、うちの宿の特徴として、11月初旬は予約の取り合いになる。 それは、僕がカラマツの紅葉の美しさを、Instagramやブログ、また、夏など別の季節に来てくれた方に、晩秋をお勧めするからだ。 予約の取り合いになるくらいになり、少し、この季節をPRしすぎてしまったかなと思うのであるが、この時期に来られる方は、他の季節に来られる方より満足されているような気がし、また、秋に来たいという方が多い。 夏の花畑の時期に来られる方も美瑛・富良野を満足されているようであるが、やはりファーム富田や青い池、四季彩の丘などの有名観光スポットでは、9割が外国人観光客で渋谷のような人混みになっており、宿に到着されたときにはお疲れで中にはぐったりされている方もいる。 来週には気温が下がり、今シーズン3回目の雪が降る予報だ。 今の時期は、降っては溶けを繰り返すが、12月初旬には根雪(降って積もり溶け切らず、日々徐々に増えていくこと)になるだろう。 冬の真っ白な丘も人気だが、観光客のネックは冬道運転だ。 冬に訪れる人の半数はレンタカー、残り半数は公共交通機関やタクシーである。 やはり、レンタカーではない場合には行動が制限されてしまうため、そんな方は僕の車で丘を案内するようにしている。案内に使うのは26歳の時に貯金をはたいて購入したランドクルーザーだ。この11月で29年目を迎え、走行距離はもう少しで40万㎞に達する古くて非常に乗り心地が良くない車だ。このモデルが誕生したのが昭和59年、真に昭和世代だ。最近、若い世代にフィルムカメラが注目されているように、若い方は物珍しそうにこの車に乗ってくれる。 一昨日、毎年の車検から帰ってきたが、整備工場の工場長は「櫻井さんのこの車を整備すると今年も1年が終わったなと感じる」という。やはり、年数が経っているため、常時製造されていない部品もあり、熟練の技も必要でメンテナンスには時間がかかって大変のようだ。 世界中の荒野や紛争地帯で活躍している車だから、耐久性には問題ない。 この冬も、沢山のお客さんを乗せるための準備は完了した。

2024-11-16T17:19:45+09:002024.11.16|

4周年

昨日でシュカブラを開業してから、4年経った。 これまでに、延べ約500組の方々にお越しいただいている。 結婚〇〇周年旅行、新婚旅行、家族旅行、ひとり旅、出張など、旅の目的も様々であり、年齢も0歳から80歳代まで様々だ。 多くの方に満足していただいたと感じているが、振り返ると中には「失敗してしまった」と思うことも何件かはある。 その失敗した原因は、僕の発した余計な一言だったと後になって思うのである。 ときどき妻にも、「あんなことは言わない方が良い」と叱られる始末だ。 シュカブラのように1棟貸しの宿の中には、玄関にキーボックスがあり、オーナーや従業員と全く顔を合わさないような宿も増えた。特にコロナ以降。 そういう形もあってよいと思うが、やはり宿というのは、寝ている時間は長いとはいえ、旅の時間の中で大部分を占める、その地域の風土を一番感じられる場所だと思う。 だから、その土地を知るオーナーやスタッフが直接顔を合わせ対応し、一言二言でも良いから言葉を交わすことが重要だと思う。 昔、母親によく言われたことがある「男は少し寡黙な方が格好ええ。あんたは口から生まれてきたみたいに喋りすぎやな」と。 父親は寡黙な人だから、「おかん、あんたに似たんや」と返す。 建物のメンテナンスもできるだけ自分でするようにしており、備えてある家具什器類も一つひとつ時間をかけて探し調達していることが伝わるのか、「この宿には櫻井さん夫婦の魂が詰まっているのを感じられる」と言われたことが何度もある。 それでも、ただ単にお洒落な建物の宿で過ごすだけではではなく、美瑛をなるべく深く知ってもらうため、僕はお客さんに話すことを辞めない。 近所の人たちから四日市の上沼恵美子といわれている母が、「あんた、喋りすぎ」って言ってきそうだ。 落葉松の紅葉が最高潮を迎えようとしている。ほんの1週間程度であるが、1年でこの短い期間しかない素晴らしい時を沢山の人に見てほしい。

2024-11-15T05:43:21+09:002024.10.31|

北海道の秋は短くない(見どころ満載)

美瑛の紅葉も中盤に差し掛かってきた。 よく北海道の秋は短いと言われるが、そんなことはないと思う。 例年だと、8月下旬には涼しくなり断熱の良くない古い家などは、朝晩にストーブに火を入れるところもある。 9月には山で紅葉が始まり、ナナカマド、ダケカンバ、シラカバなど樹種の違いや標高の違いによって色付く時期も違う。初雪は10月下旬に降るものの、これが色付いた葉に薄っすらと積もり、美しさを際立たせる。平地に雪は積もり始めることは無くすぐに溶ける。11月初旬には落葉松(カラマツ)の紅葉が最高潮で10日ごろには、その葉が落ち、いよいよ冬を迎えるのである。とはいっても、根雪(溶けない状態)になるのは12月初旬だ。 9月末から10月初旬は標高の高い十勝岳温泉辺りは紅葉が見ごろを迎えた。9月30日に十勝岳温泉凌雲閣さんが一般の人にも開放している展望台に行き紅葉を楽しんだ。それなりに観光客やカメラマンがいたが、ひどく混んでいる様子もなかった。 その日の夜や翌日にはInstagramにその様子が沢山投稿されており、僕もそのうちの一人だった。 毎年、素晴らしい景色を見せてくれるこの場所は、この時期のお客さんには是非見ていただきたいと、この場所を紹介する。 10月初旬にお泊りになられる方で、前泊地が富良野であったため、美瑛に来るまでの道を少し逸れるが、時間があれば是非見て来てほしいと事前に伝えた。 16:30頃、シュカブラに到着されたお客さん「十勝岳温泉の眺めは、最高でした。教えてくれてありがとう。ただ、駐車場に入るための渋滞が酷かった。2分で辿り着くような距離が30分かかった」とのことだった。 SNSが普及する前は、情報の伝達に時間がかかったため、例えば今回のような場合、テレビなどで拡散する頃には、その場所の紅葉の見ごろは過ぎていて、急に人が溢れかえることはなかった。 良い情報も悪い(嘘)情報もあっという間に拡散してしまう時代だということを改めて感じさせられた。 今日は、これから役場の公式LINEで情報提供のあった「砂防工事で発生した伐採木の無料配布」に妻と行ってこようと思う。これにも沢山の人が押し寄せているのかなぁ。 写真は、この時期にしばしば発生する雲海(空のポツポツは星)。これも見ていただきたい景色。全部見ていたら身体が足りない。

2024-10-23T14:00:15+09:002024.10.16|

一緒に見た一番星

先日、30歳代後半の女性が一人でお越しになられた。 女性一人客は、そう珍しくない。その多くが、美瑛の旅、シュカブラに泊まる理由は「自分へのご褒美」「人生の転換期(転職)」「仕事のストレスからの解放(リフレッシュ)」など、『ひと呼吸つきたい』ということのようだ。 都会から来られる女性一人旅の方は、運転できない割合が高く、そのため、僕の車で空港や駅への送迎するほか、丘のドライブや、買い物等に一緒に出かけることも多く、お話をする機会も多い。 そんな時、ほぼ毎回聞かれるのが、「なぜ、北海道に移住した」「なぜ、安定した公務員を辞めた」「今の仕事、北海道での生活は楽しいか」だ。 先日の女性も、仕事のストレスから解放され、「少し贅沢な旅を」と以前から気になっていたシュカブラを思い切って『予約』されたとのこと。 その方は、建築を学ぶため大学に進学したかが1年で辞め、その後、美容師、語学留学など、そして現在は監査法人の契約社員として働いているとこのと。40歳を前に、未だに一貫したやりたいことが見つからないと、少し悩み不安を感じられている様子だった。 しばしば、お客さんには「夢を叶えられて羨ましい理想の人生ですね」などと言われる。しかし、僕だって、何となく大学に行き、何となく公務員になり、27歳でやりたいこと(北海道で宿をやる)を見つけ30歳で北海道に移住したが、その気になれば2・3年で開業できそうなものを、だらだらと20年もの時間を過ごし、やっと50歳で開業したが、これから先、また別のことをやりたくなるかもしれない。 人は、食べて寝て子孫を残すという動物的本能だけを持っているのではなく、知能が高いため、楽しく生きたいという欲望が必ずある。それが、そのときの置かれた状況により日々変化していくのは、ごく自然のこと。 生まれてから死ぬまでに、やりたいことが一貫しているなんてことはありえない。若い頃は、普段の生活に疑問を感じ、次のステップに一歩踏み出す勇気を多くの人が持っているが、年齢を重ねると、その勇気を持てない人が多くなり、心では変化を求めるが、変化から目を背けようとする人が多くなるような気がする。 いくつになっても、たとえ一つひとつに一貫性が無くても、その時やりたいこと楽しく一生懸命やることが大切なのであり、その中から次へのステップの何かが見つかるのだと思う。 実際、何となくなった公務員から宿泊業という全く畑違いの仕事をしている自分も、公務員で経験した知識や感覚が、多岐にわたり役立っており、しばしば、それを実感できることに、何となくなった公務員でも今となっては良かったと思うのである。 ただし、それは何となくなった公務員でも、その職にある間は正面からその仕事に向き合い取り組んだことにより得られた結果であると思う。 様々な畑違いの職に就くことが他人からは一貫性が無いように見えるかもしれないが、大事なのは仕事の種類ではなく、人としての考え方の一貫性だと思う。 あくまでも仕事は、その人の生き方や考え方を表現する媒体でしかなく、人生そのものではない。頑張っても自分を表現しづらいと感じ、他にやってみたいことが見つかり、それへ挑戦することは素晴らしいことであると思う。 公務員を辞めるとき、挨拶周りで「櫻井さんが羨ましい」という何人かの同僚がいた。口にはしなかったが、心の中で『羨ましいと思うなら、あなたもやりたいことをやったらいい。だって、人生は1度きりしかないよ』と言った。 102歳になる祖母がスマホを指でスクロールしながら言っていた。 「人間、死ぬまで勉強の繰り返し、新たな発見を求め、新たな楽しみを探す。それが人であり、人として生きている証。誰にでも苦しいとき、辛いときは必ずある。それを深く感じられる人は、楽しいことも、なお深く大きく感じられる。自分が思うほど、人は自分のことなど気にしていない。人生は誰のためのものでもなく、自分のためのもの。他人に迷惑を掛けない程度に、自分勝手に好きなように生きたらいい。」と。 人は皆、シンガーソングライターのようなもの。その人の生き様は、共感してくれる人だけに響けばよく、それだけで十分に世の中のためになっていると思う。

2024-10-24T18:49:18+09:002024.09.30|

仕事を通して世の中に伝えたいこと

シュカブラにポルシェのオープンカーが現れた。 高級車に詳しくはないが、グレードが高そうである。 シュカブラに来られる多くの方がレンタカーだが、時々、フェリーで愛車と一緒に旅をされる方がいらっしゃる。 この方とは、予約時から美瑛情報の提供などをメールでやり取りしていたが、とても丁寧でありながら、気さくな感じだった。 自家用車でお越しになられ北海道内を広い範囲で旅行されるとお聞きしたので、大きめのRV車でお着きになるのだと、勝手に想像していた。 ご到着時刻に合わせシュカブラの敷地入口で待っていると、坂の上から大型バイクのようなエンジン音が聞こえたため『これは車じゃない』と思ったが、少しエンジン音がバイクと違うような気がした。次の瞬間、こちら側にウインカーを点けたポルシェを運転する私と同じくらいの年代の男性と女性が現れた。 駐車場に誘導し、車からにこやかに降りられてお二人。 ポルシェを目にしたときは、予想が外れたため少し緊張したが、お二人の気さくな感じにほっとした。 ご主人は車が好きで、高級車を買い替えては、その車と一緒に国内を旅することが好きだとこのと。 僕の出身地である三重県と近い県からお越しであり、高級車と気さくな雰囲気のギャップに興味がわき、職業をお尋ねすると、ラーメン店を経営されているとのこと。 これを聞いた時は、お金を溜めて脱サラして、好きなラーメン屋を始めたのかなと思ったが、なんと、学校を卒業してから、屋台のラーメン屋をはじめ、そこから幾度とない苦難を乗り越え、今に至ったとのこと。しかも、奥様は高校の同級生だとのことで、その苦難を支えて来られて奥様にも感服した。 帰省した時には、是非伺おうと、チェックアウト時にお店の名前を聞いておいた。 HPには、美味しそうなメニューやウリが書かれていたが、僕が一番の感銘を受けたのは、HPの中のあるページから伝わって来る世間への訴え掛けだ。 受け取り方によっては、『何を偉そうに』『殿様商売』と感じる人もいるかもしれないが、書かれた一文にはご店主の社会に対する思いが詰まっていると感じられ、ラーメン屋という職業を通し、良き日本を後世に繋いでいきたいという思いが伝わってきた。 もちろん、味には色んな好みがあるが、きっとラーメン1杯にもその思いが吹き込まれ、お店が醸し出す雰囲気に共感する人が多いため、繁盛店となっているのだと思った。 繁盛度合というものは、どれだけ人に喜びを与えられているかと同時に、どれだけ経営者の思いが伝えられているかのバロメーターであると思う。 僕もまだまだだな。 美瑛は、今日の午後から一気に気温が下がってくるようだ。大雪山や十勝岳の上の方では、紅葉も始まっている。これから大好きな季節が始まる。毎年のことだが、僕が決して飽きない美瑛の深い秋冬が始まる。

2024-10-24T18:50:04+09:002024.09.20|

ソバの刈り取り

午前9時、事務室で仕事をしていると『ゴーッ』という音がする。 『始まったな』 蕎麦の刈り取り作業である。 この時期、朝、快晴の日は放射冷却で10℃近くまで冷えることがあり、夜露がソバの実に付くため、ある程度太陽が昇り、気温が上がり乾燥してから刈り取り作業をするのだと思う。 大型コンバイン(超大型ではない)が3台、シュカブラの前の広大なソバ畑をバリカンで刈るように綺麗にソバを刈り取っていく。 刈り取った直後は、緑色の茎が表に現れコンバインのキャタピラの後が縞々になって畑に残っていく光景が何とも綺麗だ。この茎は、数日すると朱色に変わり、畑一面が秋色になる。 コンバインの運転手さんは、刈り残しが無いよう、また、無駄な時間をかけないよう、真剣な表情で作業を進めていく。 宿泊棟や管理棟の窓からは、目の前を横切る大きなコンバインが見え、圧倒されそうな感覚だ。 以前に比べ、美瑛はソバを栽培する農家さんが増え、それに伴いソバ畑も増えた。 その裏には、農業者の高齢化や人手不足という問題がある。 美瑛の有名なパッチワーク模様は、小麦・ジャガイモ・ビート・大豆の4種類を輪作(毎年作物を変えること)する昔からやっていた農業者の営みによって生み出された光景だ。なぜ、輪作するか。同じものを毎年作ると連作障害(病気など)が発生する可能性が高いため、違う作物を作るのであるが、蕎麦はその必要がない。また、ソバは防除(農薬散布)が殆ど必要ないと言われ、、シュカブラの前のソバ畑でも農薬を撒いているのを見たことがない。ソバは、ある程度の農薬散布が必要な小麦などに比べ手間がかからず、比較的痩せた土地でも育ちやすいのである。このため、人手不足に対応しやすい作物であるとのこと。 美瑛でも美味しい蕎麦が食べられるお店がある。もちろん、シュカブラの前の畑で育った蕎麦を食べられるお店もあり、このお店では、とても美味しい蕎麦が食べられるが、あまり知られていなく穴場だ。沢山の人に知られてしまい混雑することがないよう、シュカブラに泊まられた方に、こっそり教えることにしている。 そろそろ自分の頭の髪の毛も伸びてきた。今夜、超小型コンバインで刈ることにしよう。

2024-10-24T18:51:26+09:002024.09.04|
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