雪の十勝岳連峰と秋の美瑛の丘
2日間、山に雲がかかっていた。下界でも寒く感じる日が続いた。 きっと山では雪が降っているに違いない。 小さな窓しかない書斎にこもり、事務作業をこなす。デスクワークは、あまり好きではない。外でベンチやテーブルを作ったり、塗装をしたり、草刈りをしたり、身体を動かすことが好きだから、机に向かうと肩が凝る。 1時間ほど事務作業し、休憩がてら飼っている猫でも撫でようかとリビングに。2匹の猫を撫でながら、窓の外を見ていると、さっきまで厚い雲に覆われていた十勝岳連峰が徐々に姿を現し始めた。まるで、大きな宇宙船が空を移動するように、山の前から雲が去っていく。傾き始めた太陽が山を照らし始め、切り立ったオプタテシケ山の凹凸を一段と際立たせる。 さあ、そろそろ外へ出て、シャッターを切るか。 秋から冬にかけては、写真を撮る回数が増える。昼間の時間は短くなるが、太陽が高度の低い所を通るため、斜光になる時間が長く、丘に明と暗を作り起伏が強調されるのである。 もちろん、今は紅葉や霜である。林道に敷き詰めたようになる落ち葉も良い。秋は11月中旬まで続く。 丘の上に立ち、絶景を見ながら冷っとした空気を胸いっぱい吸い込み勢いよく吐くと、悪いものが身体から出ていくような気持ちになる。 秋の美瑛は比較的静かだ。花が咲く夏も悪く和ないが、静かに過ごしたい人には、これから冬にかけての季節がお勧めだ。 一番好きな季節がもうそこまで来ている。