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5月 2023
何気ない風景・美瑛の野菜
先々週は、日の出前、氷点下になり霜が降りる日もあったが、今日の最高気温は28℃の予報だ。それでも、やはり日の出前は6.1℃だったようだ。 今月20日に、待ちに待った「美瑛ふるさと市場」が、今年の営業を開始した。ここの野菜は、地元の農家さんが野菜を持ち寄り、委託販売しているところで、朝採れたての新鮮なものが並ぶのである。最近でこそハウス栽培が普及しているが、基本的に北海道は冬に野菜が採れない。昔は秋に採れたジャガイモやニンジン、タマネギなどを貯蔵し、また、キャベツなどは漬物にしたものを、食べて凌いだのだ。現在は、冬でも本州から輸送された野菜がスーパーなどに並ぶが、輸送に日数がかかっていることもあり、納得できる味ではない。 今は、アスパラの最盛期、ふるさと市場には、いろんな農家さんのアスパラが並ぶ。アスパラは、甘みを楽しむなら焼き、シャキシャキ感を楽しむなら茹で、素材の旨味を最大限に引き出す調理工程をNHKで放送していたので試したが、今まで自分がしていた調理方法よりはるかに美味しくなった。 ふるさと市場には6月になると、トマトが並びだす。美瑛のトマトは最高である。盆地であるため、夏場でも朝晩は冷え、日中は暑くなり、寒暖の差が激しい。冷える夜には野菜たちは自分の身を守るための成分を蓄えるらしい。それが甘み成分とのことである。その野菜を早朝に収穫する。美味しくないはずがない。 美瑛ふるさと市場は火曜日定休、9:30オープンで11時頃には品数が少なくなる地元民御用達のお店。土日にはオープン前から列ができるほど大人気だ。連泊の方などには、是非立ち寄っていただきたいお店である。 丘も作物が育ち、緑が濃くなってきた。早朝や夕方の散歩やドライブが気持ち良い。有名な観光スポットも良いが、そこに向かう途中にある何気ない景色に気を留めてほしい。
虹のまち・美瑛
GWの美瑛は、日本人、アジア系外国人の観光客が沢山訪れていた。 町内の飲食店には長蛇の列ができているところもあった。 東京などでは、気温が30℃近くまで上昇したところもあるようであるが、美瑛は寒気が入り込み不安定な天気だった。 車で信号待ちをしていると屋根にゴンゴンと何かがぶつかる音がする。雹(ひょう)である。すぐに治まり、日の光が差したかと思うと、次は激しい雨。美瑛は天気が変わりやすい土地でもあり、自分の感覚ではあるが天気予報は70%、いや、春や秋は50%ぐらいしか当たらないような気がする。その証拠に、天気予報の会社によって予報が全く違うことが多い。 大型連休が終わり、レンタカーの数も減り、少し静かな美瑛に戻った。 ただ、農家さんは大忙しだ。畑起こしや防除など、全国の人々に北海道の美味しい農産物を食べてもらいたいとの思いで、一生懸命の作業が続く。とてつもなく広大な農地を巨大なトラクターが走っているのであるが、遠くから眺めていると、ジオラマのようにも見える。 5月中旬から6月中旬は比較的観光客も少なめで、美瑛の風景を楽しみながら、静かにゆっくり過ごしたい人には、お勧めの時期である。 ただ、まだ風が冷たい日が多く、不安定な天気は続くが、そのような天候だからこそ見られる景色もある。 折角、旅行に来たのに、今日は雨や曇りだから残念と思うことはない。その時にしか見られない風景もある。マイナスの気持ちでいると見落とすものも沢山。 一昨日も、雲が多く、時折激しい雨が降る1日だった。恐らくがっかりしながら観光していた人も多かったのではないだろうか。 [...]
4月 2023
野生動物たちとの共存・農業と観光
今日は晴れ。朝からチェーンソーで薪にする丸太の玉切りに精を出した。もちろん、薪になったものも売ってはいるが、基本的にできることは何でも自分でしたい(やってみたい)性格なので、薪づくりも山林を持っている人から3mの丸太で購入し、これを25㎝に玉切りし、斧で割っていくのである。そして、2シーズンの夏を越して乾燥させ、冬の薪ストーブや焚火に使う。薪割なんて都会では経験できないことと、お客さんでも挑戦される方がいる。簡単そうに見えて意外と難しい。やってみたいという人は、女性の方が多いが、ほとんどの人が斧をふり上げることが出来ない。何とか振り上げても、いざ振り下ろすときに、木ではなく自分の脛を割りそうでヒヤヒヤする。だから、女性には、キンドリングクラッカーという薪割しやすい道具で割ってもらうことにしている。 昨日は、動物に会うことが多い日だっった。キタキツネにエゾユキウサギ、エゾシカ。春は、動物たちも活発に行動する時期だ。キツネやウサギは1匹でいるのを見かけることが多いが、鹿は2・3頭でいるのをよく見かける。ただ、昨日の鹿は14頭の大集団だった。車で走っていると200m程先に白いお尻がいくつも見えた。助手席の妻に「ほら、いる」と言っても気が付かない。「ほら、あそこに鹿が」と指を差すがまだ気が付かない。80mほどの所まで来て「あれあれ」と言ってやっと気が付いた。 お客さんでも、動物には一度も会えなかったという人が多いが、おそらく気が付いていないだけのような気がする。美瑛の市街地を走っていても、結構な広い道路や踏切を渡るキツネを見かけるし、道路を猛スピードで渡り近くの木にかけ登っていくエゾリスや空を旋回するノスリという猛禽類にも会う。 それにしても昨日のエゾシカの群れは凄かった。こんな大集団に会うのは珍しく嬉しいが、一斉にこちらを見られると結構な迫力だ。 明け方や夕暮れ時は動物たちもお食事の時間で活発に動き回る。道路に飛び出してくることも多いので、気を付けたい。エゾシカと激突したら、軽自動車やコンパクトカーは大破する。鹿は、何食わぬ顔でそこを立ち去っていくことが多いらしいが。 実は、エゾシカやエゾユキウサギは農家さんにとっては、農作物を食い荒らす害獣でもある。ただ、先住者は彼ら動物であるから、上手くやっていくには色々な課題がある。 ただ、最近は、一部の心無い観光客が無断で農地や民地に立ち入り、荒らしていくことの方が問題になっているような気がする。良識ある旅行者まで疑いの目で見られることがあるという。 善良な旅行者には、美瑛を知り楽しみ何かを感じて貰いたい。一筋縄ではいかないが、農業とこの美しい景観を守っていくため、何とか解決しなければならない問題である。
旅する人、旅する白鳥
昨日の美瑛は寒かった。とはいっても、日中の気温は6℃程度。でも、真冬より寒く感じた。この寒さ、実家のある三重県四日市の真冬の寒さのようだ。明らかに美瑛の真冬より気温は15度以上高いが、身体の芯を冷やすような寒さ、まさに嫌な寒さだ。今月は、この寒さが時々あるようである。 実は3月19日から2週間ほど、次男を連れて四国・中国・淡路島等に行っていた。今年は暖かくなるのが早く桜が満開、沢山の観光客がいた。北海道の観光客の傾向との違いは、先ずレンタカーが少ないこと。高速道路が整備され、四国へも、しまなみ海道などの連絡橋を使い自家用車で行ける。関西方面などを中心に中部・関東の車も見かけた。また、外国人観光客にも違いがある。北海道は東アジア系が多いが、四国・中国は欧米人が多い。伝統的な古い街並みや城郭・寺社が欧米人には受けるのだろう。外国人観光客を見ていると、「えっ、そんなもの写真に撮るんだ」というものの前で記念撮影していたりする。感性の違いというか、普段の生活環境の違いから珍しく写るものも大きく異なるのだろう。見方を変えればそのように見えるのかもしれない。 秋に香川県から来られたお客さんに教えてもらった讃岐うどんのお店にも行けたし、高知出身の大学時代の友人に教えてもらった「カツオの塩たたき」も食べた。祖谷の山里や尾道では、地元のお婆さんと立ち話。地元の風土に触れること、旅のだいご味である。 鳥取に101歳になる祖母が住んでいるのであるが、3月上旬に肋骨を3本骨折し入院していた。今度こそ、寝たきりになってしまうのではと心配していたが、面会した時には元気そうで、今リハビリ中で、10日後には歩いて退院できるとのこと。毎日のリハビリが楽しいと言っていた。祖母の前向きな姿勢には、いつも感心するとともに「俺も負けてはいられない」と思うのである。祖母は、昨年5月にコロナに感染したが、この時も復活を果たしていた。 4月2日に帰って来ると、美瑛はシベリアに戻る途中の白鳥が沢山飛来していた。春の美瑛の風物詩である。昼間は畑で残った雑穀などを食べ、夜はキツネなどに襲われないようダム湖などで過ごす。この移動の途中にシュカブラがあり、朝夕に上空を飛行するのである。鳴きながらV字で編隊を作り、低空を飛ぶときは羽音が聞こえるほどである。 これが見られるのもあと1週間ほどであろう。忽然と姿を消し、シベリアに旅立っていく。
3月 2023
キタキツネ(野生動物との距離)
最近、毎日のようにヴィラの庭でキタキツネを見かける。1年中、ほぼ毎日、ここを縄張りとしているキツネが、パトロールで通っているようで、痕跡を見かけることは珍しくはないが、暖かくなってきたこともあり、活発に動き回るようになったのか、いつも同じ時間帯(夕方)にヴィラやレセプションのすぐそばをてくてくと歩いている。リビングのソファーに腰掛け丘や山の景色を眺めていると、目の前に現れ、何食わぬ顔で通り過ぎていく。 昨日は、前職の同僚だった友人10名以上を招き、レセプションを兼ねた自宅で近況報告会のようなものを開いた。ダイニングで料理や飲み物の準備をしていると、一人が「あっ、キツネだ」と言った。外を見ると、窓から2m程離れたところを歩いている。いつものキツネだ。その場にいた友人たちは、生まれも育ちも北海道という人が多い。キツネが家のそばを通っても特に驚く様子はない。こちらの様子に気が付いたキツネも『いつもより人が多いな』というような顔をしたが、特にいつもよりも警戒するという様子もなく、しばらくすると雪に少し穴を掘り始めた。好物のネズミでも探しているのだろうかを思ったが、興奮した様子がなく、すぐに丸くなって腰を下ろした。『ふーっ』と鼻でため息をつくように完全に前足も倒すと、目を閉じて眠りだした。キツネも寛ぐヴィラ。ちょっと気を許しすぎのような気がした。 でも、このキツネは、普段は野性味のある厳しい顔で歩いているから安心だ。 『安心だ』とは何のことだろうかを思う人もいるだろう。 北海道に住むキタキツネの中には、野生の顔をしていない優しい顔をしたキツネを見かけることがある。こういった個体は、大抵、車を見かけると近寄って来るのである。それはなぜか。人間から餌を貰っているのである。こういった個体は観光地に多い。可愛いからと人の食べ物を与えてしまっているのである。人から食べ物を貰った個体は、車が通ると餌が貰えるものと思い近づきはねられることがある。また、自分で餌を獲らなくなり厳しい冬を越せず餓死することもある。 野生動物はペットでも玩具でもない。 キツネの様子はそっと見守ることが、人間にとってもキツネにとっても良いことである。 野生動物と人間は一定の距離を保つことが重要だ。
伝えたいこと
一昨日の最低気温は氷点下24.1℃、昨日の最低気温が氷点下4.8℃、日中はプラス8度まで上昇しダウンを着て作業をしていると暑いと感じるぐらいである。道路の雪は溶けグチャグチャになり、水たまりを車が走ると茶色い水が飛び散り、道路わきの雪にかかり汚い。春が近いことを告げる北海道のこの時期の景色である。 街の人たちは、春めいた日が降り注ぐ中、ここぞとばかりに自宅前の固まった雪を鉄の棒で一斉に割り始めるのである。移住したころから、放っておけばいずれ溶けてなくなるから要らぬ労力と時間ではないかと思っているが、1日でも早く春が来てほしいという道産子の思いからの行動であろう。 シュカブラには、記念旅行で来られる方が多い。コロナのため、海外に行かず新婚旅行を国内でというカップルや、誕生日を旅先でという方、そして、結婚〇〇周年という方だ。 先日、結婚30周年の旅行先として新婚旅行にも行ったという北海道を選ばれた方が来られた。しかも、結婚記念日の夜をシュカブラで過ごされるとのこと。 ご滞在中、敷地内を散歩されたり、デリバリーのお料理や室内のインテリア、そして大きな窓からの絶景を楽しまれ、シュカブラの時間を過ごされた。 それから1週間ほどした頃、この方からお手紙が届いた。 宿には、私のプロフィールや出版社に取材していただいた時の記事などが、「ご案内」と一緒においてあるのであるが、それを読んでいただいたようだった。 私が宿を始めたのが、今から2年少し前の丁度50歳のときであるが、その方も50歳を過ぎた同世代であり、以前から望んでいた飲食店をこの秋に開業されるとのことであった。 私は大病を患い身体障碍者になってから、そのまま続けることもできた公務員を早期退職し、以前からやりたいと思っていた宿を開業した。「生きているものは必ず死ぬ」とは分かってはいたが、そのことを実感すると、やりたいことをそのままに死ねないものである。 手紙には、宿においてある出版社の記事を読んでこのことを知り、「自分がやろうとしていることに対し、背中を押してもらったような気がした」との内容が綴られていた。 [...]