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8月 2023
星空観察会・星空撮影
美瑛は星が綺麗に見える。 都会から来るお客さんに、「まともに星を見たことがないんです」「星は見えますか」と聞かれることが、よくある。 「見えますよ、このまま晴れていれば、天の川も普通に見えます」と答える。 今月11日から3日間の日程で、ペルセウス座流星群の観察会が美瑛町内の千代田の丘で開催された。星空案内役兼星空撮影の補助スタッフとして参加したのであるが、1日目は少し星が見られたものの、ほぼ3日間とも曇っていた。 参加者は各日15名から25名程度であったが、ほぼ8~9割が女性であった。いつも思うが女性は好奇心旺盛だ。参加者のうち3割程度が星空を撮影したいという人たち。皆さん星空撮影はほぼ初心者のようだった。 最近のカメラは、性能が素晴らしいため、構造を理解していなくても日中であれば、だれでも思ったような写真がそれなりに撮れる。そのため、写真愛好家も増えたように感じるが、星空撮影はそうは行かない。感度設定・シャッタースピード・露出・ピント合わせも全てマニュアルだ。ちゃんと写真が撮れる理屈を理解しているかしないかが、ここで分かってしまう。ただ、これを機に理解することにより、日中に撮る写真もきっと上達する。 今回、撮影アドバイスする側であったが、困ったことがあった。 昔のフィルムカメラや機械式カメラの場合、作りが単純なため、メーカーによりそれほど設定に違いはないが、高性能になった分、各社とも特色ある設定や機能があり、普段使っていないメーカーのカメラの設定方法が分からないのである。また、基本的に星の撮影には一眼カメラに明るい広角レンズが必要であるが、参加者の中には、これを用意するため、友人から借用し初めて使うカメラを持ってくる人もいた。こうなると、参加者と一緒に真っ暗な中、「こうかなぁ、これかなぁ」と手探り状態で、複雑な機能を調整するのである。まあ、これも参加者を協力して撮るという楽しみのひとつでもあり、また「このメーカーはこんな良い機能があるのか」などの発見もある。 今回、曇って星はあまり見られなかったが、星に興味がある、星空撮影をしたいという人が沢山いることが分かり、シュカブラのお客さんにもこれまで以上に星空観察を勧めてみようと思う。 今回のように女性の方が星空観察に興味を持って行動する傾向があるようであるが、実は、宿のオプションであるトラクター運転体験や薪割体験、スノーシュー散歩の申込も女性が殆どだ。 [...]
農業の力
結構暑い、今の美瑛。 内地では、36・37℃と大変なことになっているが、先日来られた方は、「北海道は涼しいと思ってきたのに、暑い」と予想を覆されたようであった。確かにここ2週間ぐらいは、それなりに湿度もあり、ベタベタする。 また、人気観光スポットのファーム富田、青い池、四季彩の丘などに10時から15時の間に行くと、黒山の人だかりで、渋谷や原宿のようだ。暑い時期、花の見頃だということでここに行く方が多いが、チェックインでお会いした時は、ぐったりしている方が多い。 私は、この時期の人気スポットをお勧めしない。もし勧めるとしても朝の早い時間帯だ。その時間帯は、斜光で綺麗だし、なんといっても人がそれほど多くない。 それより、本来の美瑛の姿、農作物を育てる連なる丘が見渡せるところをお勧めしている。お勧めは、五稜の丘だ。ここは美瑛の丘で一番高いところである。朝、日中、夕方、いつ行っても綺麗だ。夜も星空が綺麗だが、ヒグマ注意だ。 今は、小麦の刈り取りが終盤を迎え、刈り取った後の畑は、明るい茶色に光り、麦稈ロールという刈り取り後の麦の茎で作ったロールが、丘に転がっている。 とてつもなく大きなコンバインなどで作業する農家さんの邪魔にならないよう、静かにその風景を眺めるのである。 刈り取られた麦は、製粉され、うどんやパンなどになって自分たちの食卓に届くのである。 シュカブラでは、朝食食材セットで、地元美瑛産の小麦で作ったパンやトウモロコシのスープ、夏場は朝採りの野菜を用意している。 丘を巡り、素晴らしい風景を見て、そこで出来た穀物や野菜、牛乳、肉などを味わい、農業の力を感じてほしい。
7月 2023
絶景を見ながらのフィンランド式サウナ
皆さん、サウナ好きですか? 7月13日、シュカブラにサウナ小屋が届いた。 私自身、サウナが特に好きだということではない。どちらかというと苦手かもしれない。 では、なぜ、サウナを置いたか。それは、冬の北海道の楽しみ方を味わってもらいたいからである。 普通、サウナには水風呂が付きものだが、シュカブラのサウナにはこれがない。サウナで火照った身体は、フカフカの雪にダイブして冷ましてほしいから。そう、このサラサラした雪の時期をもっと楽しんでほしいから、サウナを置いたのである。 サウナの利用可能期間は、11月中旬から4月中旬までにしようと思う。本格的な積雪は、12月後半からであるが、それまでの間は、外気で冷やすことになる。寒くて虫もいないから、裸(水着)で外にいても問題ない。また、日中、景色を見ながら入ってもらいたいため、シュカブラに2泊以上する方のみ利用できることとする予定だ。 サウナには大きな窓があり、部屋からと同様に美瑛の丘の絶景が楽しめる。マジックミラーであるため、外から中は見えない。基本的に水着着用で利用してもらおうと思っているが、正面が広い広い農地で、冬季は真っ白の雪原だから基本的に誰からも見えない。 外から見ると、大きな窓には美瑛の丘が絵画のようにきれいに写る。中からはこの景色が見えるということだ。 熱源は薪ストーブである。自分で火を起こし、薪をくべ、温度を上げ、ときどきロウリュする。シラカバのヴィヒタで身体をパタパタ叩く。まさにフィンランド式のサウナだ。北欧のような眺めの美瑛の丘と向こうにそびえる十勝岳連峰、サウナが好きな人にとっては最高だろうな。 まだ、試運転もしていないが、11月の稼働に向けヴィヒタを作るなど、準備を進め、自分でも入ってみようと思う・・・あまり得意ではないが。
ジャガイモの花
今年の美瑛は雨が少ないようだ。本州で雨が多い年は、北海道では少ないような気がする。一昨年の干ばつを思い出させる6月だったが、やっと末日にまともな雨が降った。 観光客にとっては、晴れた日の方が良いのであろうが、美瑛の丘に住む者、特に農家さんにとっては、雨が降らないと死活問題だ。 シュカブラの前には広大なソバ畑が広がっているが、種が蒔かれ、芽を出してから雨が降らず、少し元気がないように見えた。そこに先日の恵みの雨が降った。すごいもので、窓から見える蕎麦の様子が、2時間前と全く違う。苦しそうな顔から、躍動感あふれる活き活きとした顔に変わるように、茎や葉がピンとする。 雨の後は、草木に付いた砂ぼこりが流れ落とされ、艶やかになる。だから、雨も嫌いではない。 美瑛の丘は、ジャガイモの花が満開に近い時期を迎えた。キタアカリ、レッドムーン、男爵、インカノメザメなど、様々な品種のジャガイモの花が咲く。白い花や薄紫の花。農作物で彩られる丘の風景、これこそが、本来の美瑛の姿である。 この後、ジャガイモは花が終わり、葉や茎が枯れ、7月下旬から8月に収穫される。新じゃがのホクホクした食感を楽しむ時期である。 観光客向けに整備された赤や紫、黄色やオレンジの色とりどりの花畑も綺麗だとは思うが、あくまでも観光客向けのもの。 本来の美瑛の風土を感じてもらうには、農作物が見せる素晴らしい景観を静かにそっと見てほしい。 そして、食するときは、生産者が手塩にかけ、あの丘で育った野菜だと感じながら食べてほしい。美瑛にいる時も、都会に帰ってからも。
6月 2023
自然とともに暮らす
美瑛も6月になり暖かい日が増えてきた。少し湿度も高い。とはいっても、本州のようなジメジメした感じにはほど遠い。 温かくなってくると同時に、草も伸び方も勢いを増している。こうなると、シュカブラの1,800坪の広い庭を管理するため、1週間のうち4日は草刈をすることになる。庭の草を全て刈り終わったと思っても、5日前に刈ったところは、もうすでに草刈が必要なほど伸びている。 この時期の草刈で注意をしなければならないのがスズメバチだ。7㎝ほどある女王蜂が巣を作る場所を探してウロウロしている。時々、草むらにも隠れている。蜂は、こちらから攻撃しないかぎり刺してくるほとんどない。虫嫌いな人は、よく蜂が近づいてくると大騒ぎして追い払おうとするが、蜂は敵かどうかを確認するために様子を見に来ているだけだ。騒ぐと敵だと思われ刺すのである。 ただ、偶然に鉢合わせし怒らせてしまうことや、あまりにもしつこいスズメバチとは戦うしかない。私は若いころテニスをしていた。数少ない自慢できるところであるが、出身地の三重県では、名の知れた選手であった。今も自宅にあるラケットでボールではなく、この時ばかりは、スズメバチを打つのである。 ただ、ボールを打つ時より集中する。なぜなら、スズメバチに刺されると命を落とす場合もあるのだ。近づいてきたスズメバチの動きを観察し、飛び方のパターンとコースを読み、一撃で仕留めなければならない。空振りしようものなら、刺されるか、仲間を呼んでこられるかだ。大振りはしない。確実にラケット面の中心でミートすることを心掛ける。 今まで、これを10回以上、失敗はない。失敗したら、この世にはいないから。 無駄な殺生は嫌いだが、やむを得ない。『ごめんなさい』と心の中で。 必要以上に虫を嫌い、害もないのになんでも殺そうとする人がいる。 例えばクモ。確かに軒先にクモの巣を張られると、家がみすぼらしく見えてしまうかもしれないが、駆除しすぎるとクモが餌とする蛾が大量に発生する。 こんな話も聞いたことがある。キタキツネはエキノコックス(寄生虫)を持っているから、皆殺しにしろという人がいると。ひどい話である。 [...]
5月 2023
何気ない風景・美瑛の野菜
先々週は、日の出前、氷点下になり霜が降りる日もあったが、今日の最高気温は28℃の予報だ。それでも、やはり日の出前は6.1℃だったようだ。 今月20日に、待ちに待った「美瑛ふるさと市場」が、今年の営業を開始した。ここの野菜は、地元の農家さんが野菜を持ち寄り、委託販売しているところで、朝採れたての新鮮なものが並ぶのである。最近でこそハウス栽培が普及しているが、基本的に北海道は冬に野菜が採れない。昔は秋に採れたジャガイモやニンジン、タマネギなどを貯蔵し、また、キャベツなどは漬物にしたものを、食べて凌いだのだ。現在は、冬でも本州から輸送された野菜がスーパーなどに並ぶが、輸送に日数がかかっていることもあり、納得できる味ではない。 今は、アスパラの最盛期、ふるさと市場には、いろんな農家さんのアスパラが並ぶ。アスパラは、甘みを楽しむなら焼き、シャキシャキ感を楽しむなら茹で、素材の旨味を最大限に引き出す調理工程をNHKで放送していたので試したが、今まで自分がしていた調理方法よりはるかに美味しくなった。 ふるさと市場には6月になると、トマトが並びだす。美瑛のトマトは最高である。盆地であるため、夏場でも朝晩は冷え、日中は暑くなり、寒暖の差が激しい。冷える夜には野菜たちは自分の身を守るための成分を蓄えるらしい。それが甘み成分とのことである。その野菜を早朝に収穫する。美味しくないはずがない。 美瑛ふるさと市場は火曜日定休、9:30オープンで11時頃には品数が少なくなる地元民御用達のお店。土日にはオープン前から列ができるほど大人気だ。連泊の方などには、是非立ち寄っていただきたいお店である。 丘も作物が育ち、緑が濃くなってきた。早朝や夕方の散歩やドライブが気持ち良い。有名な観光スポットも良いが、そこに向かう途中にある何気ない景色に気を留めてほしい。