年末は雪と曇りの日が続きましたが、元日の朝は快晴でスタートだ。
明日はダイヤモンドダストが見られるだろうと期待して眠りについたのだが、今日は日の出前の5時半に目が覚めた。
ダイヤモンドダストは、快晴で氷点下15℃以下、太陽が昇って30分後ぐらいが見られる確率が高い。
日の出前から車を走らせ、先ずは、自宅から西の方向に走り朝焼けを撮る。
次はダイヤモンドダストを狙うため、いつもの橋の上に向かった。
写真を趣味にする人は、同じことを考えるものである。近所に住む写真を趣味にしている60歳代の女性の友人が、自宅敷地から出ようとしたところを雪の吹き溜まりにタイヤがはまり、一生懸命スコップで掘り起こしている。
車を停め「〇〇さん、僕の車で引っ張りましょうか」と声をかけたが、「もうじき、脱出できるから大丈夫。櫻井さん、何処に行くの?」
この天気でこの時間帯、写真家にとっての『何処に行く』は、何を言わずとも『何処に何を撮りに行くか』だ。
「橋」と答えると、「後で行くから」と。

『本当に車は抜け出せるのだろうか』と気になりながらも、目的地の橋に着いた。丁度、朝日が昇って来るところ、初日の出を見ようと、橋の上には10人ほどの観光客らしき人たちがいた。
『この人たち、初日の出を見たら宿に戻ってしまうんだろうな。その後に起こる凄い現象を見ないまま』と思いながら、日の出の写真を撮らないで、ダイヤモンドダストが綺麗に撮れそうなポイントを探し橋の上を行ったり来たりしていると、一人で来ていた女性が僕のことを不思議そうに見る。
『多分、この人も日の出を見て帰ってしまうんだろうな。ダイヤモンドダストが出るかもしれないことを教えてあげようかな』と思ったが、変なおじさんと思われかねないので、声を掛けなかった。
案の定、ほとんどの人が日の出を撮り終えいなくなり、残っているのは地元の数名だけになった。
少しずつダイヤモンドダストが見え始めたころ、無事に脱出できた友人が到着した。
「さっきまで、沢山の人がいたんですけど、みんなダイヤを見ないで帰ってしまって」
「あら」
今日はダイヤモンドダストからサンピラーに変わる凄まじい現象が見られた。
変なおじさんだと思われても、声を掛けておくべきだったと後悔した。