月別アーカイブ:9月 2022

丘の雲海(朝霧の季節)

もう少しで氷点下になるような寒い朝。本格的になってきた美瑛の秋。 快晴の朝は、放射冷却で冷え込み霧が発生することが多い。その霧は緩やかな風に乗って富良野方面から美瑛に流れ込んでくる。 朝4時半、まだ太陽は昇っていないが、薄明るい窓の外にはもやもやしたものが丘を漂うのが少しだけ見える。朝霧だ。 この朝霧、薄い場合は宿から漂う様子が見られるが、濃い場合は小高い丘の上に立つシュカブラも飲み込み窓の外は真っ白だ。 この後だんだんと濃くなり飲み込まれるだろうと予測し、美瑛の丘で一番高い場所である五稜地区まで車を走らせた。 日の出までは、あと10分程。想像以上に濃い霧は雲海となって、ゆっくり南から北へ移動している。 日の出の時刻、まだ、太陽は雲海の向こう側。この後何が起こるか知らない人は日の出が見られないのならと、クライマックスを見ないでここを去ってしまうのである。 ゆっくり流れる雲の端が明るくなり始め、光芒が放射状に隙間から漏れる。そして雲の上全体を照らし始め、金色の海が現れる。ただこの金色は長くは続かない。15分程度であろうか。次第に白い雲へと変化していく。 午前8時頃、太陽が雲を溶かすように雲海は消え、雲の下に隠れていた丘のパッチワーク模様が姿を現す。 天気予報で翌日が快晴の場合、朝目覚め窓の外が真っ白の霧に覆われた場合は要注意だ。ここで諦めず、宿から車で10分足らずの高い丘に行けば雲海が見られる可能性が高い。霧が薄めの場合は、シュカブラの窓から眺めるのが良い。木枠の大きな窓から眺める朝霧の丘は移ろう絵画そのものだ。

2022-09-23T23:20:40+09:002022.09.23|

夕焼けは日没後にやって来る 朝焼けは日の出前に始まる

『夕焼けは、日没後にやって来る』 『朝焼けは日の出前に現れる』 SNSやブログで何回も書いているが、大多数の人がそのことに気づいていない。 素晴らしい夕景が見られるスポットでは、観光客や近郊に住んでいる人が集まり、夕陽から日没までの景色を楽しむのをよく目にする。 そして、太陽が沈むと多くの人が満足したように帰ってしまう。20人ぐらいいた人が、日が沈むと3人ほどになり、残っているのはカメラマンだ。そう、この人たちは知っている、これから現れる絶景を。 多くの人は、夕焼けがいつ起こるのか理解していない。 沈む太陽を見るのは確かに美しい。ただ、せめて後30分粘ってみよう。 太陽が沈み、地平線の下から雲を照らす。これが夕焼けだ。雲がオレンジやピンクに染まる。雲のないときには、空のグラデーションが楽しめる。 多くの人は、これを見逃している。 日が沈み帰ってしまう人を見て、いつも思う。『もったいなぁ!!』 それでも、焼けそうな日には、近くにいる人だけには、声をかける。『もう少しいると、いいものが見れるかもしれないですよ』と。 自然現象だから、期待外れで大して焼けないときもあるが、そういうときがあるからこそ、焼けたときが素晴らしく、また、嬉しく感じるものである。 昨日は秋らしい青空に筋雲が浮かんでいた。夕方、日が傾くと徐々にいい色合いに染まり始める。雲が黄色になりオレンジになり、敷地内の別の場所でお客さんも夕景を楽しんでいる様子。日が沈むと、夕食を買いに出かけようとするお客さん。『えっ!今、行っちゃうの』と目が合う。 「お出かけですか?」と声をかける。 「もう少し待った方がいいですか」とお客さん。 「多分、これからピンクに焼けますよ。夕焼けは日没後にやってきますから」 「そうなんですね、もう少し待ってみます」と部屋に戻る。 40分ほど経ったころ、夕焼けも終わり倉庫の整理をしていると、改めて買い物に出かけるお客さん「凄く綺麗でした。ありがとうございます。」と満足されたご様子。その様子に僕も大満足。 翌朝のチェックアウトの際、「朝焼けも見れました」とお客さん。 「おぉ! 僕は、まだ寝ていました(笑)」

2022-09-09T16:09:12+09:002022.09.09|
Go to Top