月別アーカイブ:7月 2024

田舎暮らしはのんびりしていない

シュカブラの土地は、自宅兼管理棟も含め6反ある。「反」と言ってもイメージが湧かないと思うが、約1800坪(6400㎡)だ。1800坪と言ってもイメージできなければ、地域によって違うが一般的な住宅街の一区画が約50~70坪であることから想像してほしい。つまりは、とても広いということ。ちょうど長方形で間口64m×奥行100mである。 「広くてゆったりとのんびり過ごせていいなぁ」と思うだろう。 そんなに甘くはない。 この土地を購入した時は、「冬の除雪が大変だろうな」とは思ったが、雪を捨てるところは沢山あるため、除雪はトラクターにスノーブロアという雪を飛ばす機械を付けたものと除雪機を使えば、必要なところを除雪するのは2時間程度で終了する。また、美瑛は12月初旬から雪が積もり始め、ピーク時でも1m程であるため、毎日除雪をするということもない。むしろ、敷地がそれほど広くない住宅街の方が、大型機械が使えないため手作業になり、捨て場もなく、隣家の敷地の前に捨てようものなら、ご近所トラブルが発生する(雪国では多い話)から大変だ。 では、何が想像していた以上に大変かというと、草刈りだ。5月初旬には草刈が必要になり始めるが、これが10月中旬頃まで続く。6月~9月は雨が降って晴れると、一気に草が伸びるのである。1800坪を1日で一気に済ませるのは不可能。1日2・3時間程度作業し3日間で終わらせるが、天候によりできない場合もあり、3日目に終了したと思ったら、初日に刈ったところは、もう結構伸びている。ということで、この時期、雨の日以外は毎日草刈りという具合だ。 作業としては、刈払機や自走式草刈機、鎌を使うが、特に刈払機の操作では、小石を跳ねて建物のガラスなどを割らないように慎重に行う。 作業中には、草に隠れていたスズメバチが飛び出して来たりと、ヒヤヒヤすることも多い。 うちの宿の田舎暮らし体験メニューとして、薪割やトラクター運転体験もあるが、草刈り体験も追加した方が良いだろうか。綺麗に1反刈ってくれたら、ワイン1本をサービスとか。 ときどき、のんびり田舎暮らししたい(移住)などの話を直接や役場の移住相談窓口を通して聞くこともある。田舎暮らしはお勧めするが、やることが山ほどあり、のんびりとはしていないと思う。ただ、その忙しさを楽しく思えるかどうかも移住するか否かの大きなポイントだ。

2024-08-12T16:37:32+09:002024.07.31|

美瑛マジックにかかる

この時期、ラベンダーを見たいと富良野のファーム富田に行きたいというお客さんが多い。多いということは、当然そこは混雑するということ。 先日、お客さんに前情報を伝えるため、ファーム富田に電話し混雑状況を聞いた。 「やっぱり混雑してますか?」 「そうですね、沢山の方にいらしていただいています」 「駐車場に入るまでも渋滞していますよね」 「いいえ、停滞しています」 「そうですよね」 「外国の方が多いと聞きますが」 「はい、9割ぐらい外国の方だと思います」 とこのような感じだ。 美瑛・富良野では北海道の雄大な景色を見ながら静かに過ごしたいと思って来る方が殆どだと思うが、特に花が好きだというような人を除き、花を見ているのか人を見ているのか分からないところへ無理して立ち寄らなくても良いのではと思う。 この時期、麦の穂が実りジャガイモの花が咲く広大な美瑛の丘を普通にドライブしているだけで、とてもリフレッシュできる思う。 とてつもなく広い畑の向こうに見えるのは、トラクターと軽トラだけというような静かで見晴らしの良いところもあり、そんなところで深呼吸してほしい。 先日、以前シュカブラに泊まられたお客さんに用事がありLINEした。 彼女は厳冬期にいらしたのであるが、4日間で冬の真っ白な丘を10時間以上、一緒にドライブし、雪の日や晴の日、ダイヤモンドダストや満天の星空に大満足だった。 LINEのやり取りの中に「次回は櫻井さんのお勧めしない8月に行きます」と書かれていたが、まあ自分は秋や冬の方が好きなので、その季節をお勧めしているが、グリーンシーズンも決して悪くはなく農業景観は素晴らしいし、夏はなんといっても野菜が美味しい。ただ、折角都会から来るのだから人混みで酷い所謂観光スポットは、なるべく避けるか混雑する時間を外した方が良いなぁと思うのである。 LINEにはもう一つ、「また、櫻井さんマジックで楽しみたい」と書かれていた。 丘案内や自然現象の情報提供などを喜んでくれたのだと思っており、とても嬉しいのだが、決して特別なサプライズをしたわけではなく、彼女が感じたマジックとは、自然と調和し暮らす人々が築き上げた美瑛という地そのものと、それを受け入れた彼女自身の心ではないだろうか。僕はそれが少しでも感じられるよう、ほんの少しのサポートをしただけであり、それが、僕が宿をやる理由である。

2024-07-23T19:26:41+09:002024.07.14|
Go to Top