旅から生まれるもの

3月25日に出発した旅を終え、4月8日に美瑛に帰ってきた。 苫小牧港から仙台に寄港し、名古屋港から上陸。鳥取県の智頭町や米子市、京都府の伊根町、大阪市、亀岡市、京都市、大津市、津市、四日市市から琵琶湖の横をすり抜け、日本海側に出て、新潟市まで北上、東北地方を横切り仙台港から苫小牧港へ、車での走行距離は2,700㎞。 途中、一時的に家族(妻・長男・次男)と合流したが、ほぼ一人旅だった。 旅の目的の一つは、米子に住む102歳になる父方の祖母に会うこと。祖母は足腰が弱って歩行器での移動だが、相変わらず頭の回転は速かった。 もう一つの目的は、オーバーツーリズムの現状視察であるが、一つが伊根町。 こちらは、京都府の北部、日本海側にある町である。近くには、昔から観応地として有名な天橋立がある。 伊根は漁師町で湾に面する海岸の際に270件の舟屋が立ち並び、日本の原風景が残る場所である。 数年前までは天橋立などに比べ、それほど観光客も訪れない場所であったが、この風景が有名になり、近年、特に外国人観光客が急増したようである。伊根町の人口は2,000人程度であるが、そこに年間何十万人という人が訪れている。それとともに、私有地への立ち入りや、駐車場の問題などが発生して、伊根町観光協会のHPを覗くと「伊根は観光地ではありません」と謳っている始末である。観光協会の人に話を聞いたが、皆さんには伊根に来て楽しんでいただきたいが、一部のマナーの悪い人たちのせいで、住民が安心して暮らせないことと、善良な観光客にも悪影響があるなどのことから、このように言わざるを得ないとこのことで、大変苦慮されている様子が伺えた。 丁度、桜の開花時期で日中は車や人が多く、また、私有地への立ち入りなどマナー違反も見受けられた。 田舎でこのような状況というところが、美瑛の状況と類似している。ただ、美瑛の方が、より深刻な状況であるように感じた。 その他、大学生の頃に住んでいた大阪や京都、また、20代の頃勤めていた三重県庁にも立ち寄った。何か人生をなぞっているような不思議な感覚になってきた部分があった。 旅をすると発見できるものがある。特に長期での一人旅はそうである。 今の仕事も27歳のときに初めて北海道に訪れたことがきっかけだ。宿をやるという夢を持ち、それを達成した。 今回の旅で見つけたこと。それは、60歳で自伝的小説を書くことだ。2歳年下の従妹が作家をしており3年前に自伝的小説を書いてそれなりの反響があった。そのせいで、懇意にしていた新聞社とは関係が断絶するというマイナスもあったようであるが、僕が書いたところで大した影響はなく、ましてや読んでくれる人も近親者だけかもしれない。 ただ、人生を振り返り、自分の気持ちを整理するという意味では、良いのではないだろうか。それを書くことにより、人生の終盤に向けた新たな目標が見つかるかもしれない。 旅先では、これまでシュカブラに来てくれた方の住む町やその近くを通ると、「元気ですか」と声を掛けたくなった。旅行中、毎日2回程度、インスタのストーリーズに旅の様子を投稿していたが、何人かそういった方からメッセージをいただくことがあり、旅をさらに楽しいものにしてくれた。タイミングが合えば、お茶でもしたい。 この場を借りて、メッセージへのお礼を申し上げる。ありがとう。 帰ってから4日経った。4月16日までは休業中であるが、夏に向けた準備を急ピッチで進めている。トラクターやチェーンソー・草刈機の整備、薪の移動などなど、山ほどある。1日に1回は写真を撮る。やはり、美瑛の景色を撮ると心が落ち着く。 この時期、シベリアに帰るため、一時的に美瑛に滞在する白鳥などの渡り鳥がシュカブラ上空を行きかう姿を見ながら、仕事と趣味の区別がないようなことを、一つひとつこなしていくこととしよう。