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キタキツネ(野生動物との距離)

最近、毎日のようにヴィラの庭でキタキツネを見かける。1年中、ほぼ毎日、ここを縄張りとしているキツネが、パトロールで通っているようで、痕跡を見かけることは珍しくはないが、暖かくなってきたこともあり、活発に動き回るようになったのか、いつも同じ時間帯(夕方)にヴィラやレセプションのすぐそばをてくてくと歩いている。リビングのソファーに腰掛け丘や山の景色を眺めていると、目の前に現れ、何食わぬ顔で通り過ぎていく。 昨日は、前職の同僚だった友人10名以上を招き、レセプションを兼ねた自宅で近況報告会のようなものを開いた。ダイニングで料理や飲み物の準備をしていると、一人が「あっ、キツネだ」と言った。外を見ると、窓から2m程離れたところを歩いている。いつものキツネだ。その場にいた友人たちは、生まれも育ちも北海道という人が多い。キツネが家のそばを通っても特に驚く様子はない。こちらの様子に気が付いたキツネも『いつもより人が多いな』というような顔をしたが、特にいつもよりも警戒するという様子もなく、しばらくすると雪に少し穴を掘り始めた。好物のネズミでも探しているのだろうかを思ったが、興奮した様子がなく、すぐに丸くなって腰を下ろした。『ふーっ』と鼻でため息をつくように完全に前足も倒すと、目を閉じて眠りだした。キツネも寛ぐヴィラ。ちょっと気を許しすぎのような気がした。 でも、このキツネは、普段は野性味のある厳しい顔で歩いているから安心だ。 『安心だ』とは何のことだろうかを思う人もいるだろう。 北海道に住むキタキツネの中には、野生の顔をしていない優しい顔をしたキツネを見かけることがある。こういった個体は、大抵、車を見かけると近寄って来るのである。それはなぜか。人間から餌を貰っているのである。こういった個体は観光地に多い。可愛いからと人の食べ物を与えてしまっているのである。人から食べ物を貰った個体は、車が通ると餌が貰えるものと思い近づきはねられることがある。また、自分で餌を獲らなくなり厳しい冬を越せず餓死することもある。 野生動物はペットでも玩具でもない。 キツネの様子はそっと見守ることが、人間にとってもキツネにとっても良いことである。 野生動物と人間は一定の距離を保つことが重要だ。

2023-03-18T15:47:59+09:002023.03.18|

伝えたいこと

一昨日の最低気温は氷点下24.1℃、昨日の最低気温が氷点下4.8℃、日中はプラス8度まで上昇しダウンを着て作業をしていると暑いと感じるぐらいである。道路の雪は溶けグチャグチャになり、水たまりを車が走ると茶色い水が飛び散り、道路わきの雪にかかり汚い。春が近いことを告げる北海道のこの時期の景色である。 街の人たちは、春めいた日が降り注ぐ中、ここぞとばかりに自宅前の固まった雪を鉄の棒で一斉に割り始めるのである。移住したころから、放っておけばいずれ溶けてなくなるから要らぬ労力と時間ではないかと思っているが、1日でも早く春が来てほしいという道産子の思いからの行動であろう。 シュカブラには、記念旅行で来られる方が多い。コロナのため、海外に行かず新婚旅行を国内でというカップルや、誕生日を旅先でという方、そして、結婚〇〇周年という方だ。 先日、結婚30周年の旅行先として新婚旅行にも行ったという北海道を選ばれた方が来られた。しかも、結婚記念日の夜をシュカブラで過ごされるとのこと。 ご滞在中、敷地内を散歩されたり、デリバリーのお料理や室内のインテリア、そして大きな窓からの絶景を楽しまれ、シュカブラの時間を過ごされた。 それから1週間ほどした頃、この方からお手紙が届いた。 宿には、私のプロフィールや出版社に取材していただいた時の記事などが、「ご案内」と一緒においてあるのであるが、それを読んでいただいたようだった。 私が宿を始めたのが、今から2年少し前の丁度50歳のときであるが、その方も50歳を過ぎた同世代であり、以前から望んでいた飲食店をこの秋に開業されるとのことであった。 私は大病を患い身体障碍者になってから、そのまま続けることもできた公務員を早期退職し、以前からやりたいと思っていた宿を開業した。「生きているものは必ず死ぬ」とは分かってはいたが、そのことを実感すると、やりたいことをそのままに死ねないものである。 手紙には、宿においてある出版社の記事を読んでこのことを知り、「自分がやろうとしていることに対し、背中を押してもらったような気がした」との内容が綴られていた。 少し人の役に立てたような気がし、この仕事をやっていてよかったと思う瞬間であり、励みになる。 宿をやる目的は、美瑛を知ってもらうこと、リフレッシュしてもらうこと、楽しんでもらうことはもちろんだが、挑戦しようとする人や困難を抱えている人に少しでも役に立てたらと思うことも大きい理由の一つだ。 時々このようなお手紙をいただくことがあるが、その一つひとつが私の宝となり、継続して「背中を押してくれている」のである。これからも、肩ひじ張らず、ありもままの自分でナチュラルに伝えたいことを伝えていこうと思う。

2023-03-02T17:58:50+09:002023.03.01|
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