シュカブラは、広大な農地に囲まれている。毎年、その畑では作物として蕎麦が作られている。
今年も本格的に畑起こしと播種が始まった。
部屋からは、目の前を人の身長をはるかに超える巨大なタイヤのトラクターが行きかうのを見ることができる。
トラクターを運転操作している農家さんは真剣な表情で前方と後方を何度も確認しながら、うねうねの丘を綺麗に起こしていく。
十勝のような平坦な土地ではなく丘が連なる美瑛は、トラクターの操作がとても難しい。横に傾きながら真っすぐに畑を起こすのは、豊富な経験と技術が必要だ。

シュカブラの庭にも800坪ぐらいの範囲にアンジェリアなどの花の種を撒く。庭を放置しておくと、たちまち雑草だらけになるからだ。
土起こし、種まきのタイミングは、気温や雨の予報を見ながら思案するのだが、天気予報を見て自分なりに判断するよりも、周りの農家さんの作業の様子を見ながら、それに足並みを合わせて作業を進める方が確実だ。
美瑛は天気予報が当たりづらいからか、農家さんの経験則の方が上回る。
自分で判断して種まきした年は、撒く時期が早すぎて、寒さで成長しなかったりしたが、農家さんの真似をして時期を定めると、綺麗な花をつけてくれる。
庭の畑起こしはトラクターで行うが、種まきは手作業。近所の農家さんが昔使っていたという種まきの道具を借り、ゆっくりゆっくり種を撒く。
丁寧にまんべんなく撒いたつもりでも、実際花が咲いてみると、密集したところや薄いところができていて、近所の農家さんには「ふふふ」と笑われる。
やはりプロにはかなわない。

6月中旬にはシュカブラの庭はアンジェリアの薄紫の花が咲き乱れ、7月にはシュカブラの周りの何ヘクタールもの広大な農地は、白い小さな蕎麦の花で埋め尽くされるだろう。
シュカブラの庭に立つ白樺の木陰から、十勝岳連峰をバックに一面の白い蕎麦畑を見られる日が来るのが待ち遠しい。