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4月 2024

旅から生まれるもの

2024.04.12|

3月25日に出発した旅を終え、4月8日に美瑛に帰ってきた。 苫小牧港から仙台に寄港し、名古屋港から上陸。鳥取県の智頭町や米子市、京都府の伊根町、大阪市、亀岡市、京都市、大津市、津市、四日市市から琵琶湖の横をすり抜け、日本海側に出て、新潟市まで北上、東北地方を横切り仙台港から苫小牧港へ、車での走行距離は2,700㎞。 途中、一時的に家族(妻・長男・次男)と合流したが、ほぼ一人旅だった。 旅の目的の一つは、米子に住む102歳になる父方の祖母に会うこと。祖母は足腰が弱って歩行器での移動だが、相変わらず頭の回転は速かった。 もう一つの目的は、オーバーツーリズムの現状視察であるが、一つが伊根町。 こちらは、京都府の北部、日本海側にある町である。近くには、昔から観応地として有名な天橋立がある。 伊根は漁師町で湾に面する海岸の際に270件の舟屋が立ち並び、日本の原風景が残る場所である。 数年前までは天橋立などに比べ、それほど観光客も訪れない場所であったが、この風景が有名になり、近年、特に外国人観光客が急増したようである。伊根町の人口は2,000人程度であるが、そこに年間何十万人という人が訪れている。それとともに、私有地への立ち入りや、駐車場の問題などが発生して、伊根町観光協会のHPを覗くと「伊根は観光地ではありません」と謳っている始末である。観光協会の人に話を聞いたが、皆さんには伊根に来て楽しんでいただきたいが、一部のマナーの悪い人たちのせいで、住民が安心して暮らせないことと、善良な観光客にも悪影響があるなどのことから、このように言わざるを得ないとこのことで、大変苦慮されている様子が伺えた。 丁度、桜の開花時期で日中は車や人が多く、また、私有地への立ち入りなどマナー違反も見受けられた。 田舎でこのような状況というところが、美瑛の状況と類似している。ただ、美瑛の方が、より深刻な状況であるように感じた。 [...]

3月 2024

リセットの旅

2024.03.24|

明日から旅に出る。 毎年、この時期には鳥取に住む祖母に会いに行くのである。今年で102歳になった祖母は、サービス付き高齢者住宅に入居しているが、歩行器を使えば自力で歩くことができ、耳は遠いものの、なんといっても認知機能の衰えが感じられない。 毎朝、新聞を読み、自分より若い人達(80歳代が多い)に、その内容をかみ砕いて分かりやすく説明するのだと施設の方が教えてくれる。 まだまだ、好奇心も旺盛で新しいものを見つけると、「私はもう年だから」と言いつつも、手に取って眺めたり、興味深そうに話を聞くのである。 90歳を超えてから、骨折を2回、100歳でコロナに感染、これらを見事に乗り越えた。本人としては、戦時中のことを思えば、大したことはないというような感じだ。 自分はそこまでにはなれないと思うが、常にプラス思考、前向きな気持ちになれればと思うのである。 1年に一度の「喝」を入れてもらってくる。 旅のもう一つの目的は、他地域のオーバーツーリズムの現状と、先進的な取り組みを自分の目で確かめてくるということ。 前回のブログにも書いたが、美瑛はオーバーツーリズムで問題が多発している。 大阪や京都の街中とは違った本州の田舎でのこのような問題に対する取り組みを視察し、今後の美瑛の観光のあり方を地域の人々と考える上での材料としたい。 [...]

オーバーツーリズム(正しい旅とは)

2024.03.12|

全国各地で「オーバーツーリズム」が問題になっている。京都をはじめ広島の宮島や岐阜の白川郷、鎌倉などが有名であるが、美瑛も同様である。 京都では観光客が増えすぎて、路線バスに地元の人が乗車できないことや、鎌倉では江ノ電の線路に進入する者があり運行に支障をきたすなど、また、各地で民家への無断立入があるようである。 美瑛も同様に色々な弊害があり、コロナ明け以降、それがさらに激しくなってきている。 美瑛の特徴としては、一番に農地への立ち入りがある。10年前には「立入禁止」の看板はあまり見かけなかったが、最近はいたる所にこれが立っているのである。 この時期、農地である丘は積雪で真っ白だ。確かに看板がないところは、空き地だと思って進入してしまうこともあるかもしれない。ただ、看板がいくつもあるにもかかわらず、また、ロープが張ってあるにもかかわらず、立ち入る観光客が後を絶たない。 町役場や観光協会、また、土地の所有者等も様々な対策を講じているものの、いたちごっこになっている。対策を講じるにも多大な経費が必要になり、財源確保もままならないところである。 東京などでは数年前から宿泊税が導入され、観光関連事業に充てられているが、北海道でも宿泊税の導入が検討されている。 観光する側にも、地域を守るためにある程度の負担をお願いすることは、やむを得ないことだと思うし、自分が宿泊税のかかる地域を旅行した時は、その土地・風土の保全のために活用しほしいと納得して支払う。 ただ、美瑛の実情としては、この土地を訪れる観光客の9割が日帰り客である。農地や民家の庭に立ち入り、街にゴミや吸い殻をポイ捨てし、大きな声で騒ぎ、車が来ているにもかかわらず車道の真ん中で三脚を立て写真を撮っている、その多くが札幌や旭川等に宿泊している日帰り客のようだ。北海道の宿泊税が導入されても美瑛に宿泊していないのだから税がかからないのである。 美瑛は広く面積は東京23区と同じだけある。町内への道路も沢山ある。このため、日帰り客から美瑛に入る際に「入域税」を徴収することは困難であるが、何らかの方法で日帰り客にも一定程度の負担を求めるべきであると思う。 [...]

2月 2024

旅とは何か

2024.02.28|

「観光と旅は違う」 37歳と若くして亡くなった友人の言葉を思い出すことがある。 自分が32歳のとき、旭川市役所の同期入庁のうち15人ほどの仲の良いグループでバリ旅行に行った。彼は28歳、国内のみならず海外も色々なところを旅している人だった。 同期の連中と北海道内を旅行することが多かったが、海外に行ってみようという話になり、海外旅行に旅慣れた彼が世話役となり企画してくれた。 日本は治安も良く、世界一安全な場所だと言われている時代、そのような環境で育ってきた自分たちとっては、海外は油断できない怖いところだという意識が強かった。 同期の中で最年長だった自分も年下の人たちを安全にリードしなければならないという意識から、彼と協力しながらバリを観光して回った。 初めての海外旅行でもあり、楽しかったものの、半分は緊張していた。小銭以外は服の中に着けるベルトに、カメラはたすき掛けにと、用心して街を歩いた。 ホテルのスタッフや観光ガイドと会話することもあったが、現地の住民と話す機会は殆どなかった。 帰りの飛行機の中、大きなトラブルもなく楽しく過ごせたなと、彼と話をしていたところ、「今度は観光ではなく、海外を旅したらいいよ」と彼がポツリと言った。 その時は、何となく「観光と旅は違う」ということが分かったような気がしていたが、明確な違いは分からなかった。 [...]

思い描いた景色との出会い

2024.02.13|

僕はクールな人間なのか? 『ホームページやブログの写真や文章から、櫻井さんはクール人だと想像していた』と旅行を終え帰宅された女性からのお礼のメッセージの中に、そんなことが書かれていた。 意外な言葉であった。ストイックな奴だと言われたことはあるが、『クール』だと言われたのは、人生でおそらく2回目だ。正確にいうと1回目はクールではなく『冷たい人』と言われたような気がするが。 身近な人は、僕のことを熱く、また、かなり拘りが強く頑固だと言う。 彼女は、お母さんともうすぐ2歳になるお子さんと3人で3泊された。オープンした直後の3年前ぐらいにインスタでシュカブラを見つけ、それから、ブログやインスタの投稿を頻繁に見てくれていたようで、彼女に自分の身の上話や美瑛の出来事を話すと、多くのことを知っていたのである。 『えっ、なんで僕のそんなことまで知ってるの???』と思うことも多くあったが、記憶を辿ると確かに過去にブログに書いた覚えがある。 こんなにまで、隅々まで読んでくれている人はなかなかいない。感激である。 彼女は美瑛に来て、シュカブラに泊まるということの他に、青空や星空をバックにクリスマスツリーの木やセブンスターの木の横の白樺並木などを撮影するほか、ダイヤモンドダストなどの稀に見られる自然現象を見たいとのことで、旅行前からLINEでやり取りし相談に乗っていた。だが、如何せん晴れや星空などは天気次第、僕にはどうしようのないことで、彼女には、どんな天気でも楽しめるようニュートラルな気持ちで来てほしいと話していた。 到着された日、旭川空港にお迎えに行ったが、空も真っ白で、やや吹雪ぎみだ。彼女やお母さんが「空も地面も真っ白っていうのも綺麗ですね」との言葉に少しほっとした。 でも、彼女はやはり青空と星が見たいんだろうなと思いながら、『少しでも晴れ間が覗いてくれたら』と願った。 [...]

誕生日

2024.02.02|

2月2日、54歳になった。正確に言うと「年齢に関する法律」では前日の2月1日に54歳になっていたのであるが、それはよしとしよう。 今日は、誕生日を祝うような地吹雪である。気温は氷点下10℃ほどで、風があるため体感温度は低いが、息をすると肺が凍りそうな氷点下20℃の晴天の朝ほどではない。 部屋の中は暖かいから、清掃のときは半袖半ズボンだし、自宅兼レセプションの間を行ったり来たりするのも、そのままの恰好だ。 顔や腕、脚にたたきつける雪も気持ちがい良い。 シュカブラの前の通りから、こちらを眺めている観光客は、とても驚いたような表情で僕を見ている。 「大丈夫ですよ、着てますから」というように身振りで挨拶すると、あちらも笑って返してくれる。 還暦まであと6年、30歳になったときに北海道に移住し、元気に動けるのは60歳までで、そのうちの半分を過ぎてしまったと思っていたが、いくつかの稀な病気にかかり、身体に障害も残っている状況を考えると、改めてそれが現実のような気がしてくるのである。 16歳の長男、14歳の次男を見ていると、人生なんてあっという間だから、早くやりたいことを見つけて、それに向かって進めと言いたくなるが、自分の高校生の頃は、好きなテニスと好きな女の子を追いかけているだけで、特に何も目標はなかったなと思い返してしまうのであった。

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