年間アーカイブ: 2024

思い描いた景色との出会い

僕はクールな人間なのか? 『ホームページやブログの写真や文章から、櫻井さんはクール人だと想像していた』と旅行を終え帰宅された女性からのお礼のメッセージの中に、そんなことが書かれていた。 意外な言葉であった。ストイックな奴だと言われたことはあるが、『クール』だと言われたのは、人生でおそらく2回目だ。正確にいうと1回目はクールではなく『冷たい人』と言われたような気がするが。 身近な人は、僕のことを熱く、また、かなり拘りが強く頑固だと言う。 彼女は、お母さんともうすぐ2歳になるお子さんと3人で3泊された。オープンした直後の3年前ぐらいにインスタでシュカブラを見つけ、それから、ブログやインスタの投稿を頻繁に見てくれていたようで、彼女に自分の身の上話や美瑛の出来事を話すと、多くのことを知っていたのである。 『えっ、なんで僕のそんなことまで知ってるの???』と思うことも多くあったが、記憶を辿ると確かに過去にブログに書いた覚えがある。 こんなにまで、隅々まで読んでくれている人はなかなかいない。感激である。 彼女は美瑛に来て、シュカブラに泊まるということの他に、青空や星空をバックにクリスマスツリーの木やセブンスターの木の横の白樺並木などを撮影するほか、ダイヤモンドダストなどの稀に見られる自然現象を見たいとのことで、旅行前からLINEでやり取りし相談に乗っていた。だが、如何せん晴れや星空などは天気次第、僕にはどうしようのないことで、彼女には、どんな天気でも楽しめるようニュートラルな気持ちで来てほしいと話していた。 到着された日、旭川空港にお迎えに行ったが、空も真っ白で、やや吹雪ぎみだ。彼女やお母さんが「空も地面も真っ白っていうのも綺麗ですね」との言葉に少しほっとした。 でも、彼女はやはり青空と星が見たいんだろうなと思いながら、『少しでも晴れ間が覗いてくれたら』と願った。 ときどき日が差し込み青空が見えるが、何となくすっきりしない天気で3日目の夜を迎えた。20時頃は星など全くと言っていいほど見えない曇空である。23時頃になり、雲の切れ間から少しだけ星が見えだした。ダメもとで星を見に行くかと彼女に問うと、「行きたい」との返事が。一か八か行ってみるかと思い、真っ暗な丘を車で走る。よく僕が撮影するセブンスターの木の横の白樺並木が見えるところに着いた。 ほんの10分前、ほとんど雲に覆われていた空は澄み渡り、満天の星空が目の前に広がっていた。 何か所かの撮影ポイントを巡り、最後はクリスマスツリーの木。時刻は午前1時半、静まり返った暗闇、華やかな冬の星座をバックに佇む一本の木。聞こえるのは、キュッキュッという雪を踏みしめる2人の足音だけ。気温は氷点下18℃、痛くなる指先でシャッターを切った。 翌朝(その日の朝)、旅行の最終日、氷点下22℃快晴である。いつのも橋の上に行くと、高い確率でダイヤモンドダストが見られる気象条件が揃っている。 『予定通り、出発する』と彼女にLINEし7時半頃、橋の上に到着。 川霧立つ中、朝日に向かってじっと待つ。キラキラとダイヤモンドダストが少しずつ見えだし、徐々に濃くなると、小さめであるがサンピラーも現れた。 彼女の勝ち、彼女の執念。1シーズンで何回も見られない現象が起こっている。感動する彼女の眼は少し潤んでいるように見えた。(寒さで涙が浮かんだのかもしれないが) 「あれが見たい、こんな写真を撮りたい、撮り直して」と遠慮なく言ってくれる彼女は、僕と親子ほど年が離れている。僕には娘はいないが、娘がいたらこんな感じなのかと、不思議な気分の4日間であった。 彼女とは16時間ほど一緒に昼夜の丘をドライブしながら話をしたが、たぶん僕のことをイメージしていた『クール』とは程遠い人間だと感じたのではないだろうか。 どちらかというと、『北の国から』の黒板五郎のようなホットな人間だと、自分では思っている。

2024-11-30T20:20:51+09:002024.02.13|

誕生日

2月2日、54歳になった。正確に言うと「年齢に関する法律」では前日の2月1日に54歳になっていたのであるが、それはよしとしよう。 今日は、誕生日を祝うような地吹雪である。気温は氷点下10℃ほどで、風があるため体感温度は低いが、息をすると肺が凍りそうな氷点下20℃の晴天の朝ほどではない。 部屋の中は暖かいから、清掃のときは半袖半ズボンだし、自宅兼レセプションの間を行ったり来たりするのも、そのままの恰好だ。 顔や腕、脚にたたきつける雪も気持ちがい良い。 シュカブラの前の通りから、こちらを眺めている観光客は、とても驚いたような表情で僕を見ている。 「大丈夫ですよ、着てますから」というように身振りで挨拶すると、あちらも笑って返してくれる。 還暦まであと6年、30歳になったときに北海道に移住し、元気に動けるのは60歳までで、そのうちの半分を過ぎてしまったと思っていたが、いくつかの稀な病気にかかり、身体に障害も残っている状況を考えると、改めてそれが現実のような気がしてくるのである。 16歳の長男、14歳の次男を見ていると、人生なんてあっという間だから、早くやりたいことを見つけて、それに向かって進めと言いたくなるが、自分の高校生の頃は、好きなテニスと好きな女の子を追いかけているだけで、特に何も目標はなかったなと思い返してしまうのであった。

2024-02-06T16:40:18+09:002024.02.02|

やはり東京は寒かった

先週は所用で次男と東京方面に行ってきた。 1月の東京が寒いのは知っている。もちろん、気温自体は美瑛より高いが、何か質の違う嫌な寒さだ。 半袖のインナーシャツに長袖Tシャツ、ダウンジャケットという服装で、ほぼ美瑛にいる時と同じ格好だ。 羽田に着き空港内を歩く。流石に屋内はダウンを着ていると少し暑く感じられる。 地下鉄に乗り、目的地に着き屋外に出る。 今日は暖かい日のようだ。「ダウンジャケットまでは要らなかったかな」と思った。 羽田に着いてから、2時間ほど経過したころだろうか、喉がイガイガしだした。『風邪でもひいてしまったのだろうか』と思い咳払いをすると、隣の次男も咳払いをしている。 次男と顔を見合わせ、「んっ、空気が汚い」「風邪じゃないな、たぶん」 お客さんが美瑛に来たときに、よく言っている。「空気が美味しい」と。そういうことか。 羽田空港を出発し、横浜に立ち寄り、新橋のホテルまで、道のりの殆どが地下道やビル、電車の中で、地上を歩くことが殆どなかった。地上に出てもビルに囲まれ空があまり見えないため、天気の移り変わりが分からない。お客さんが言っていた「通勤で空を見ることがない、外を歩くのは1分程度」と。こういうことか。 夕食を摂るため、ホテルから有楽町まで外を歩いた。「寒っ!」気温は8℃、ダウンも着ている。やはり、北海道の寒さとは質の違う寒さが背中をゾクゾクさせる。カイロを貼っておけばよかったと後悔する。 お店に入っても、まだ寒い。窓が1重サッシで冷気が入って来る。ダウンは脱げない。 外を見るとテラス席があり、そこで食事をしている人もいる。『都会の人は寒さに強いな』と感心する。 3日間滞在し、羽田を飛び立つ前の気温は7℃、寒い。 離陸すると、夕焼けに浮かぶ富士山のシルエットが綺麗だ。 それにしても、東京から2時間弱で別世界の北海道に着くなんて便利だ。 旭川空港に到着。気温はマイナス5℃、暖かく感じた。この気温なら半袖のインナーシャツに長袖Tシャツ、ダウンジャケットで十分だ。 昨日の朝は、マイナス22℃。凍れる寒さだ。晴れ、無風。ダイヤモンドダストの発生する可能性が高い。 いつもの橋の上まで車を走らせた。橋の上で1時間ほどダイヤモンドダストを待つ間、雪面にできる青い影を撮影する。手足の指が痛い。膝がきしむ。でも、いやな寒さではない。

2024-01-17T08:15:16+09:002024.01.17|

ダイヤモンドダストとサンピラーで迎える元日

年末は雪と曇りの日が続きましたが、元日の朝は快晴でスタートだ。 明日はダイヤモンドダストが見られるだろうと期待して眠りについたのだが、今日は日の出前の5時半に目が覚めた。 ダイヤモンドダストは、快晴で氷点下15℃以下、太陽が昇って30分後ぐらいが見られる確率が高い。 日の出前から車を走らせ、先ずは、自宅から西の方向に走り朝焼けを撮る。 次はダイヤモンドダストを狙うため、いつもの橋の上に向かった。 写真を趣味にする人は、同じことを考えるものである。近所に住む写真を趣味にしている60歳代の女性の友人が、自宅敷地から出ようとしたところを雪の吹き溜まりにタイヤがはまり、一生懸命スコップで掘り起こしている。 車を停め「〇〇さん、僕の車で引っ張りましょうか」と声をかけたが、「もうじき、脱出できるから大丈夫。櫻井さん、何処に行くの?」 この天気でこの時間帯、写真家にとっての『何処に行く』は、何を言わずとも『何処に何を撮りに行くか』だ。 「橋」と答えると、「後で行くから」と。 『本当に車は抜け出せるのだろうか』と気になりながらも、目的地の橋に着いた。丁度、朝日が昇って来るところ、初日の出を見ようと、橋の上には10人ほどの観光客らしき人たちがいた。 『この人たち、初日の出を見たら宿に戻ってしまうんだろうな。その後に起こる凄い現象を見ないまま』と思いながら、日の出の写真を撮らないで、ダイヤモンドダストが綺麗に撮れそうなポイントを探し橋の上を行ったり来たりしていると、一人で来ていた女性が僕のことを不思議そうに見る。 『多分、この人も日の出を見て帰ってしまうんだろうな。ダイヤモンドダストが出るかもしれないことを教えてあげようかな』と思ったが、変なおじさんと思われかねないので、声を掛けなかった。 案の定、ほとんどの人が日の出を撮り終えいなくなり、残っているのは地元の数名だけになった。 少しずつダイヤモンドダストが見え始めたころ、無事に脱出できた友人が到着した。 「さっきまで、沢山の人がいたんですけど、みんなダイヤを見ないで帰ってしまって」 「あら」 今日はダイヤモンドダストからサンピラーに変わる凄まじい現象が見られた。 変なおじさんだと思われても、声を掛けておくべきだったと後悔した。

2024-01-02T09:41:25+09:002024.01.01|
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