小学3年生の4月、期待と少しの不安を感じながら、新しいクラスの教室に入り席に着いた。
隣を見ると可愛らしく利発そうな女の子が座っていた。
今でこそ、初対面の相手にも自ら話しかけることが多いが、このころは人見知りが強く、自分から話しかけることなどない性格。
クラスも変わり知っている友達も少ないなか少し緊張していたが、隣にこんな子が座っているとさらに緊張が高まった。
隣の席だということもあり、間もなく話始め、休み時間や放課後もグループで遊んだりするようになったのであるが、思った通り彼女は勉強もでき運動もできる、所謂クラスのマドンナ的存在だった。
4年生の1学期が終わり、僕が引っ越しで同じ四日市市内の別の学校に転校したため、会うことはなかった。
時は流れ、僕は市内の高校に進学。引っ越し前に住んでいた地区の何人かの懐かしい顔を入学式で見かけた。
その中にいた、あのクラスのマドンナが。
入学時は別のクラスだったが、2年生の時に一緒のクラスになった。このクラスは男女の仲が良かったが、彼女とは小学生の時ほど特に仲が良いというわけではなく、それほど話もしなかった。
卒業後も数年ごとに行われる同窓会で見かけ挨拶をする程度であった。
高校卒業30年を記念して開催された大規模な同窓会を機に、高校2年のクラスメートでグループLINEが開設され、みんなの近況などが書き込まれるなか、大企業を早期退職した彼女が、今から1年半前にお菓子屋さんを始めたことを知った。
僕が宿を始めた3年後ぐらいのことである。
同じ自営業ということもあり、Instagramで繋がり、それぞれの投稿を覗くようになった。

2ケ月程前、スーパーで買い物をしていると、スマホのメール着信お知らせがなった。予約確認メールである。
画面を覗くと見覚えのある名前、そう彼女の名であった。なんの前触れもなくの予約だったため、驚きのあまり、お店の中であるにもかかわらず、「ワオ!」と声をあげてしまった。
これまでに、何人かの友人が泊まりに来てくれたことはあるが、幼い頃を知られている人が来るのは初めてで、嬉しく思うと同時に、照れくさい気分で2ケ月を過ごした。

一昨日、旦那さんと訪れた彼女を、僕は妻と一緒に迎えた。
4人でシュカブラの庭から最高の夕焼けを堪能し、思い出や移住、自営業のことなどを話した。(※写真は、彼女と旦那さん)
新しい発見があった。
彼女は「隣の席になったのは、誕生日が近く、男女別の出席番号が同じだったから」「小学生の時の櫻井君は可愛かった」と言ったが、旦那さんが、「高校で再会したときは?」と聞くと、「再会した時の櫻井君はおじさんになっていてびっくりした」と青い池サイダーしか飲んでいないのに、酔っぱらっているのかと思ってしまうようなことを口にした。
高校生におじさんはないだろう(笑)
まあ、お互いもう55歳だから、今は間違いなく「いいおじさん、いいおばさん」である。
どちらかというと、2日間で旦那さんとの方が、沢山会話したような気がする。
昨日、2人は帰っていった。

小学3年生で僕の隣の席に座っていた女の子。まさか、僕がこの北の大地で宿をやり、そこに彼女とその旦那さんが泊まりに来てくれ、それを妻と一緒に迎えることになるなんて、半世紀前の自分にはそんな想像を微塵も出来なかったのは、当然のこと。
まるで時空を超えたような不思議な気分の楽しい楽しい2日間であった。
もし、彼女がこのブログを読んだら、「櫻井君、文法上、ここの表現が少しおかしいよ」と言ってくるのかなぁ。