三重県から北海道に移住して25年目、四半世紀が過ぎようとしている。
27歳で初めて北海道を旅行し、まだ何も知らないにも関わらず、いずれこの地に住みたいと思った日のことを覚えている。
それから、夏と冬の合計8回程度訪れ、30歳で北の大地に移住してきた。
親戚や知人・友人も全くいない土地で暮らす不安が全くなかったかと言えば嘘になるが、生まれ育った土地ではなく、自ら選んだ地で暮らすことが出来ることの喜びや希望の方が遥かに勝っていたし、今のこの土地で暮らすことに希望があり、移住して良かったと思うのである。

先日、首都圏から20歳代後半のご夫婦がシュカブラに来られた。
丁度、僕が初めて北海道に来た年齢と同じくらいだ。
ご主人は初めての北海道、奥さんは2回目らしい。
一緒にドライブしながら話をしていると、「どうして北海道に移住したのか」「移住して良かったか」などを聞かれ、どうも何処か田舎に移住したいような雰囲気が伝わってきたため、ストレートに「移住しますか?」と聞いてみた。
現在、ご主人はシステムエンジニアとして、ほぼ在宅勤務をされているとのことであったが、田舎で宿泊業などのサービス業や農業などをやってみたいとのこと。
ただ、田舎暮らしをするために、住む地域や仕事のことなど何から手を付ければ良いかが分からないとのことであった。
誰でも新しいことを始めるときは、同じような感覚になり、自分もそうであった。
ただ、大事なのは、本当にやってみたいと思うことがあるのなら、それに向かって小さなことでも良いから何か行動を起こすこと。一歩を踏み出さないと何も変化しないし何も起きない。
何か行動を起こしたことで、それが直接的に役に立たない場合もあるが、それもその後の成功のための糧になるはずである。
不安を感じたり、変わらずこのままでいいかなと思ってしまう気持ちも分かるが、少しでも変化を望むなら、挑戦するしかない。それが、最初は小さな挑戦であっても良い。
彼が初めて泊まる宿で、初対面の僕に対し少し遠慮気味に「北海道に住んで良かったか?」と聞いたこと、そんなことの積み重ねが、彼の挑戦の一歩一歩となり、良い方向に進むきっかけとなることを、僕は願っている。