シュカブラにポルシェのオープンカーが現れた。
高級車に詳しくはないが、グレードが高そうである。
シュカブラに来られる多くの方がレンタカーだが、時々、フェリーで愛車と一緒に旅をされる方がいらっしゃる。
この方とは、予約時から美瑛情報の提供などをメールでやり取りしていたが、とても丁寧でありながら、気さくな感じだった。
自家用車でお越しになられ北海道内を広い範囲で旅行されるとお聞きしたので、大きめのRV車でお着きになるのだと、勝手に想像していた。
ご到着時刻に合わせシュカブラの敷地入口で待っていると、坂の上から大型バイクのようなエンジン音が聞こえたため『これは車じゃない』と思ったが、少しエンジン音がバイクと違うような気がした。次の瞬間、こちら側にウインカーを点けたポルシェを運転する私と同じくらいの年代の男性と女性が現れた。
駐車場に誘導し、車からにこやかに降りられてお二人。
ポルシェを目にしたときは、予想が外れたため少し緊張したが、お二人の気さくな感じにほっとした。

ご主人は車が好きで、高級車を買い替えては、その車と一緒に国内を旅することが好きだとこのと。
僕の出身地である三重県と近い県からお越しであり、高級車と気さくな雰囲気のギャップに興味がわき、職業をお尋ねすると、ラーメン店を経営されているとのこと。
これを聞いた時は、お金を溜めて脱サラして、好きなラーメン屋を始めたのかなと思ったが、なんと、学校を卒業してから、屋台のラーメン屋をはじめ、そこから幾度とない苦難を乗り越え、今に至ったとのこと。しかも、奥様は高校の同級生だとのことで、その苦難を支えて来られて奥様にも感服した。
帰省した時には、是非伺おうと、チェックアウト時にお店の名前を聞いておいた。
HPには、美味しそうなメニューやウリが書かれていたが、僕が一番の感銘を受けたのは、HPの中のあるページから伝わって来る世間への訴え掛けだ。
受け取り方によっては、『何を偉そうに』『殿様商売』と感じる人もいるかもしれないが、書かれた一文にはご店主の社会に対する思いが詰まっていると感じられ、ラーメン屋という職業を通し、良き日本を後世に繋いでいきたいという思いが伝わってきた。
もちろん、味には色んな好みがあるが、きっとラーメン1杯にもその思いが吹き込まれ、お店が醸し出す雰囲気に共感する人が多いため、繁盛店となっているのだと思った。
繁盛度合というものは、どれだけ人に喜びを与えられているかと同時に、どれだけ経営者の思いが伝えられているかのバロメーターであると思う。
僕もまだまだだな。

美瑛は、今日の午後から一気に気温が下がってくるようだ。大雪山や十勝岳の上の方では、紅葉も始まっている。これから大好きな季節が始まる。毎年のことだが、僕が決して飽きない美瑛の深い秋冬が始まる。