今日の美瑛は、青空が見えている。久しぶりの太陽だ。数日は4日間雪が降り続き、吹雪の時もあった。先日、女性とそのお母様の母娘旅を楽しまれているお客さんが3泊されたのであるが、まともにその悪天候に被ってしまったのである。到着前から天気予報を見て、『ドンピシャで3泊とも吹雪く日に当たってしまったなぁ』と少し残念な気分でいた。到着された時も結構な雪が降っていたが、窓から見える景色を見て「お母さん、雪、綺麗やなぁ。」「真っ白やなぁ。」と楽しまれている。
晴れていれば、綺麗に見える十勝岳連峰も全く見えない。
宿泊棟でのチェックイン時の説明も終わり、自宅兼レセプションに戻り、天気予報と窓の外をにらめっこしていたが、一向に良くなる予報はなく、むしろ悪化していた。交通機関は高速道路の通行止めや鉄道の運休のニュースも流れ出した。
いつも、お客さんが楽しまれている部屋の大きな窓から、素敵な景色を楽しまれているかが気になるが、『3泊もしていただける方にその3泊ともが悪天候になるなんて』と何度も思いながら、『まあ、自然相手だから自分には何とも出来ないな』と少し諦めていた。
2日目、タオル交換に宿泊棟に伺うと、お母様が対応してくれた。『雪、綺麗やなぁ。子供の時分にベチャベチャの雪は見たことがあるけど、ここの雪はサラサラで綺麗やなぁ。凄いなぁ』と。少し安心した。お母様はご高齢で、関西弁で話すその姿を見ていると、10年以上前に亡くなった生粋の大阪人の祖母を思い出した。
3日目のタオル交換。雪はまだ、降り続いている。チェックイン時と比べると、プラス50㎝は積もったのではないだろうか。今日もお母様が対応してくれた。おばあちゃんが話す優しい関西弁が、心地よく感じ癒される。ほんの数分だが、僕にとって楽しい時間。
チェックアウトの際、お母様『楽しませてもろたわ。』、娘さん『楽しかった。また、来年この時期に来ます。』
荒れた天気でどうなることかと心配したが、ほっとすると同時に、長く北海道に住んでいると、忘れかけている冬に対する新鮮な気持ちや感覚を思い起こさせてくれた。
出発されてから1時間後、雪がやみ、少し山が見えだした。今度は青空の下の雪原を見てほしい。