美瑛にも春が来た。とはいっても、桜はまだだ。

シュカブラの庭を散歩すると残雪の隙間からフキノトウが顔を出しているのをあちこちに見かける。昨日、横浜から取引先のお客様が来られた。「フキノトウが出てきましたね」と声をかけると、「どれですか? あれがフキノトウですか。わぁ!初めて見ました」と。北海道に住んでいると、この時期、土手や道端、幹線道路の中央分離帯まで、いたるところで見かけるフキノトウ。僕も北海道に移住した1年目の春はあちこちにあるフキノトウを見てびっくりしたものだ。そして、道産子の友人に連れられ沢の近くのフキノトウを採って天ぷらにして食べた。想像した通り苦く好きな味ではなかったが、好きな人は、揚げ物の他にもフキノトウ味噌など保存食にもする。僕は咲いているのを見ているだけでいいな。この後、フキノトウは花が咲き、ぐんぐん成長し綿毛を付け、それが風に乗って遠くへ飛んでいく。残ったフキノトウの周りには、フキが生えてくる。

北海道の桜はいつ咲くのか。平地では、丁度ゴールデンウィークあたりだ。暖かくなるこの頃になると道民ははじけるのだ。桜の木の下でジンギスカンというのが定番。あちこちで肉を焼くにおいがする。北海道の桜の品種は、エゾヤマザクラがメインで、ソメイヨシノは道南の一部にあるぐらい。エゾヤマザクラはソメイヨシノよりピンクが濃く鮮やかだ。少し標高の高い美瑛や富良野では、5月中旬や下旬でも十分楽しめることも多い。

もう一つ、この時期しか見られないのが、白鳥だ。南で越冬した白鳥がシベリヤに帰る途中でこの地で休息する。田畑で虫や穀物の残りを食べ、湖などの水辺で休む。朝夕は、ねぐらと食事場所を行きかうV字飛行する白鳥が、丁度シュカブラの上空を飛ぶ。羽音が聞こえるほど低空飛行する場合があり、庭仕事をしているとドキッとする。

大地は、まだまだ茶色が多いが、2週間もすれば緑の絨毯ができ、華やかな季節を迎える。