美瑛も6月になり暖かい日が増えてきた。少し湿度も高い。とはいっても、本州のようなジメジメした感じにはほど遠い。
温かくなってくると同時に、草も伸び方も勢いを増している。こうなると、シュカブラの1,800坪の広い庭を管理するため、1週間のうち4日は草刈をすることになる。庭の草を全て刈り終わったと思っても、5日前に刈ったところは、もうすでに草刈が必要なほど伸びている。
この時期の草刈で注意をしなければならないのがスズメバチだ。7㎝ほどある女王蜂が巣を作る場所を探してウロウロしている。時々、草むらにも隠れている。蜂は、こちらから攻撃しないかぎり刺してくるほとんどない。虫嫌いな人は、よく蜂が近づいてくると大騒ぎして追い払おうとするが、蜂は敵かどうかを確認するために様子を見に来ているだけだ。騒ぐと敵だと思われ刺すのである。
ただ、偶然に鉢合わせし怒らせてしまうことや、あまりにもしつこいスズメバチとは戦うしかない。私は若いころテニスをしていた。数少ない自慢できるところであるが、出身地の三重県では、名の知れた選手であった。今も自宅にあるラケットでボールではなく、この時ばかりは、スズメバチを打つのである。
ただ、ボールを打つ時より集中する。なぜなら、スズメバチに刺されると命を落とす場合もあるのだ。近づいてきたスズメバチの動きを観察し、飛び方のパターンとコースを読み、一撃で仕留めなければならない。空振りしようものなら、刺されるか、仲間を呼んでこられるかだ。大振りはしない。確実にラケット面の中心でミートすることを心掛ける。
今まで、これを10回以上、失敗はない。失敗したら、この世にはいないから。
無駄な殺生は嫌いだが、やむを得ない。『ごめんなさい』と心の中で。

必要以上に虫を嫌い、害もないのになんでも殺そうとする人がいる。
例えばクモ。確かに軒先にクモの巣を張られると、家がみすぼらしく見えてしまうかもしれないが、駆除しすぎるとクモが餌とする蛾が大量に発生する。
こんな話も聞いたことがある。キタキツネはエキノコックス(寄生虫)を持っているから、皆殺しにしろという人がいると。ひどい話である。
この地球は、人間だけのものではない。
人間の日々の生活にとって快適な環境を守ることも大切であるが、我物顔で生きていると必ずしっぺ返しが来る。人間も動物であり、自然の一部であることを忘れてはならない。

シュカブラの周りは広大なそば畑だ。数日前に茶色い土から小さな芽が出た。朝露に濡れて輝く姿が綺麗だ。7月には白い花を咲かせ、8月下旬には刈り取られる。美瑛は蕎麦の生産も盛んだ。町内では美味しい蕎麦を出す店が増えた。