丸く見えるが、三日月の光である。星と月を同時に撮るのは難しい。月に露出を合わせると星はほとんど写らないし、星が写るよう露出設定すると月は輪郭が分からなくなる。人間の目は凄い。この2つを同時に見ることが出来るのだから。
先日、来られた若いお二人、埼玉からわざわざシュカブラに泊まることをメインに来ていただいたようだ。来られる前からLINEでやり取りがあり、天気予報では荒天にならない予報であることを伝えていた。到着する日の午前中は、風もなく青空や十勝岳連峰も見え俗に言う「いい天気」だった。きっと飛行機からは綺麗な山や丘が見られているのだろうと安心していた。この日はチェックアウトさせる方がおらず、時間的に余裕があったため、13時に旭川空港までお迎えに行くことになっていた。空港に向かう途中の道からも、綺麗に山が見えていた。だが、空港に到着すると天気は急変しだした。空港ターミナルの屋根に積もった雪が強い風を受け地吹雪のように飛ばされだした。西の空には雪雲がどんどん近づいて来る。
空港で落ち合い宿に向かう道すがら、セブンスターの木やクリスマスツリーの木に立ち寄ったが、ほぼ吹雪状態になっていた。気温はマイナス6℃程度と低くないが、雪が当たり、顔が痛い。お客さんと「痛いね、痛いね」と言いながら写真を撮った。空も地面も真っ白で道の境目が分からないくらいだ。宿に到着、明日は青空を見せてあげたいと願っていた。夜になると、風が収まり少し星も見えるようになった。玄関アプローチにあるアイスキャンドルに火を灯すことにした。
翌朝、雪は降っていた。時折激しく。チェックアウト後、一緒に故・前田真三氏の写真ギャラリー拓真館に行き、Netflixのドラマ「初恋」の料理を監修した高橋よしこ氏の経営するSSAWでランチを食べ、寄り道しながら空港まで車を走らせた。やはり、今日も吹雪、どこを向いても真っ白だ。「真っ白、真っ白」とお客さん。こんなに白一色になるのも年に数回しかないが、まともにこれに当たってしまった。できれば、青空や夕陽に照らされ色付く山並みも見せてあげたかったと少し残念に思っていた。
空港に着き、お客さんから「最高でした」と、少し残念に思っていた私の気持ちを吹き飛ばすような言葉。救われた。
いつも、お客さんには宿だけではなく美瑛を十分楽しんでもらいたいと思っているが、反対にお客さんから喜びを与えられることがよくある。最高の瞬間だ。