シュカブラの敷地内には、シンボルツリーの大きな白樺がある。敷地は6000㎡あるが、丘の上で見晴らしがよいため、林がなく影が少ない。ヴィラのウッドデッキにオーニングを付けたいと思い検討したが、時折、丘の下から上がって来る強い風に耐えられず破損する恐れがあるため設置を諦めた。
何とか影が作れないだろうかと、昨年の夏から考えていたが、良い方法が見つからず諦めていた。
先月、よく晴れた暑い日に草刈りをしていたところ、ふと気が付くと脳天を突き刺すような日差しが治まった。しかし、遠くに見える丘やヴィラにも日が降り注いでいる。ふと見上げるとシンボルツリーの下にいることに気が付いた。木陰ができているではないか。「ここがあったか!」 私たち家族は、この木をシュカブラの木と呼んでいる。
この暑い時期の午前10時頃から正午頃までではあるが、影ができる。おまけに、十勝岳連峰や美瑛の丘が一望できるではないか。こんな良い場所があったとは。
早速、ウッドデッキを作ることにした。工作をする際には、ヴィラを建てたときの廃材を使い、足りないものは近くの建築現場で使わないものを貰ったり、ホームセンターで調達するのである。
接客の合間を縫って、ウッドデッキを5日間ほどで完成させたが、このままでは物足りず、カフェコーナーにしようとベンチも作ることにした。一人掛けの椅子を2つにするか、もしくは二人掛けのベンチを1つにするか妻と相談した。新婚さんや若いカップルは黙っていても引っ付いて座るが、年を重ねた夫婦は磁石の同極のように、ある一定の距離を保つのが一般的な話だ。妻の意見で、ご夫婦にも旅に来たのだから密着してもらおうと二人掛けを選択した。
誰にも邪魔されず、二人だけの時間を過ごしてほしい。シュカブラの木の下で。