立春を迎えましたが、北海道美瑛町はまだまだ冬真っただ中です。昨年より晴れて冷え込む日が少ないようで、その分雪は多いです。十勝岳や大雪山がくっきり見える日もあまりありません。

最近、丘を散策していなかったので、用事で美瑛の街に出かけた際に足を延ばして、車で丘をブラブラしてきました。雲の具合と太陽の角度を見ながらなんとなく走っていると、ここにたどり着きました。「クリスマスツリーの木」です。
グッドタイミングです。木のトップに太陽が重なり、手前には木の影が伸びています。写真だけ見ていると、派手さがなくシンプルで静かな様子ですが、このタイミングを狙っていたのでしょう、周りには一眼レフやミラーレスカメラ、また、スマホのレンズを木に向けて構えている人が沢山いました。パシャパシャというシャッター音が沢山聞こえます。多くの方が「このチャンスを逃さぬよう」と、少しセカセカ慌てた様子でした。
慌てて撮るとそれが写真にも表現されてしまうような気がします。
私はシャッターを切る前に、なるべく、他のものを頭から消し、無に近い状態で撮れるよう深呼吸し、心をニュートラルにします。
そのせいか、同じ写真であっても、見る人によって「厳しい冬の感じが伝わってきますね」や「メルヘンチックですね」や「凛としていますね」など、感じ方が様々なようです。現物を見ても人それぞれ感じ方が違うので、私はこれでいいのだと思っています。

車を進めると、雪原に茶色い点が見えました。「何だろう」と思い近づくとキタキツネです。立っているのでもなく、歩いてもなく、座っているのでもなく、ふかふかの雪面に伏せています。ネズミでも捕まえて雪面に押さえつけているのでもなさそうです。何か穏やかな表情で「寛いでいる」といった表現が最もふさわしいと思えるような様子でした。
「ちょっと撮らせてくれないかな」と思いレンズを向けると、「邪魔するな」というように、こちらを何度も振り返りながら林に消えていきました。

この先一週間は、日中プラスの気温になる日も多く徐々に春を感じる日が増えるでしょう。