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10月 2022

秋の美瑛(光芒・光のカーテン)

2022.10.20|

丘にも紅葉が降りてきた。美瑛は紅葉の最盛期に入りつつある。シラカバ、ミズナラ、ナナカマド、ニレ、クルミ、カエデなど、樹種もさまざまであるが、水辺や日向・日陰の違いによっても色付く時期が様々だ。 この時期は、早朝に濃い霧が出ることが多い。上空が晴れて放射冷却で地表が冷えるためである。朝、窓の外は10m先が見えないこともある。こういったときは、かえって絶景を見るチャンスだ。このことを知らない人は、「あぁ・・・」と思い二度寝してしまう。霧が徐々に晴れてくる何とも言えない幻想的で素晴らしい瞬間を見逃してしまうのである。 濃い霧が南から北へ目の前の丘を流れ、だんだん薄くなり切れ間から鮮やかな樹々がチラチラと見え隠れする。正面から太陽が丘を照らす。逆光の明と暗の世界。大きな窓から注ぎ込む朝日は、次第に室内を温め暖房が不要になるどころか少し暑いぐらいだ。ウッドデッキ側の小窓とベッド上の窓を開けると、冷たい風が部屋を通り抜ける。外の空気を感じながらの朝のコーヒー。ただ、窓の外を見ながらぼーっと過ごす時間。旅行に出ると、あれもこれも見たい、あれもこれも食べたいと欲張ってしまうことが多いが、何もしない時間を楽しむのも良いものではないかと思う。 この日は、十勝岳連峰を覆う分厚い雲でスタートした。ここで、がっかりするのは早い。この後、やって来る素晴らしい景色を待つ。朝食の準備をしながら、キッチンから窓の外を除く。『来たっ!』光のカーテンだ。雲の切れ間から漏れた太陽の光が丘に降り注ぐ。庭から見るのも良いが、木枠の窓を通して見るのも、動く絵画を見ているようで良いものである。 11月初旬まで、美瑛の丘が最も美しく鮮やかになる季節、私が一番ドキドキする季節。

初雪と雪虫

2022.10.07|

朝、窓の外を眺めると真っ白い山。大雪山や十勝岳連峰に降ったようだ。秋から冬にかけては、空気が澄み、山が見える日が多くなる。 10日ほど前に雪虫が飛んでいたと聞いたが、本当に降った。雪虫はアブラムシの仲間で白いふかふかの綿毛に覆われたような体をしている。雪虫が飛ぶと10日程度で初雪が降ると言われているが、毎年、間違いなく当たる。動物ってすごいなぁ。 北海道に移住して23年目であるが、いまだに初雪を見るとワクワクする。だが、北海道に生まれ育った道産子のほとんどの人は、そうではない。雪を見ると「あぁ、今年もこの季節が来てしまったか・・・」と落胆するのである。生まれたころからの見慣れた風景と除雪などの苦労を想像してしまうのだという。 山では、紅葉が真っ盛りだ。そこに降った初雪で、きっと色付いた樹々と白い山肌のコントラストが素晴らしいことであろう。 美瑛の丘の紅葉も始まっているが、本格的になるのは来週からだろう。樹種によって色付く時期が違うため、比較的長い間、紅葉が楽しめる。丘の紅葉はシラカバなどの黄葉が多い。秋まき小麦の緑とのコントラストが素晴らしい。 昨日のお客様は新婚旅行で北海道を訪れた方だった。焚火を楽しまれたが、夏の焚き火より、少し寒いぐらいの方がいいかもしれない。特に新婚さんは。 晩秋の10月下旬、そして初冬、私の好きな季節が始まる。

9月 2022

丘の雲海(朝霧の季節)

2022.09.23|

もう少しで氷点下になるような寒い朝。本格的になってきた美瑛の秋。 快晴の朝は、放射冷却で冷え込み霧が発生することが多い。その霧は緩やかな風に乗って富良野方面から美瑛に流れ込んでくる。 朝4時半、まだ太陽は昇っていないが、薄明るい窓の外にはもやもやしたものが丘を漂うのが少しだけ見える。朝霧だ。 この朝霧、薄い場合は宿から漂う様子が見られるが、濃い場合は小高い丘の上に立つシュカブラも飲み込み窓の外は真っ白だ。 この後だんだんと濃くなり飲み込まれるだろうと予測し、美瑛の丘で一番高い場所である五稜地区まで車を走らせた。 日の出までは、あと10分程。想像以上に濃い霧は雲海となって、ゆっくり南から北へ移動している。 日の出の時刻、まだ、太陽は雲海の向こう側。この後何が起こるか知らない人は日の出が見られないのならと、クライマックスを見ないでここを去ってしまうのである。 ゆっくり流れる雲の端が明るくなり始め、光芒が放射状に隙間から漏れる。そして雲の上全体を照らし始め、金色の海が現れる。ただこの金色は長くは続かない。15分程度であろうか。次第に白い雲へと変化していく。 午前8時頃、太陽が雲を溶かすように雲海は消え、雲の下に隠れていた丘のパッチワーク模様が姿を現す。 天気予報で翌日が快晴の場合、朝目覚め窓の外が真っ白の霧に覆われた場合は要注意だ。ここで諦めず、宿から車で10分足らずの高い丘に行けば雲海が見られる可能性が高い。霧が薄めの場合は、シュカブラの窓から眺めるのが良い。木枠の大きな窓から眺める朝霧の丘は移ろう絵画そのものだ。

夕焼けは日没後にやって来る 朝焼けは日の出前に始まる

2022.09.09|

『夕焼けは、日没後にやって来る』 『朝焼けは日の出前に現れる』 SNSやブログで何回も書いているが、大多数の人がそのことに気づいていない。 素晴らしい夕景が見られるスポットでは、観光客や近郊に住んでいる人が集まり、夕陽から日没までの景色を楽しむのをよく目にする。 そして、太陽が沈むと多くの人が満足したように帰ってしまう。20人ぐらいいた人が、日が沈むと3人ほどになり、残っているのはカメラマンだ。そう、この人たちは知っている、これから現れる絶景を。 多くの人は、夕焼けがいつ起こるのか理解していない。 沈む太陽を見るのは確かに美しい。ただ、せめて後30分粘ってみよう。 太陽が沈み、地平線の下から雲を照らす。これが夕焼けだ。雲がオレンジやピンクに染まる。雲のないときには、空のグラデーションが楽しめる。 多くの人は、これを見逃している。 日が沈み帰ってしまう人を見て、いつも思う。『もったいなぁ!!』 [...]

8月 2022

クリスマスツリーの木と旭川空港発・羽田行き

2022.08.27|

お盆を過ぎると、美瑛はもう秋だ。庭のニシキギという木も色付き始めた。朝晩は、涼しいを通り超えて肌寒い。北海道の短い夏は終わりを告げた。 夏の星座たちも、だんだん西の空に傾く。 良く晴れた夜、久々に星空に浮かぶクリスマスツリーの木を見ようと車を走らせた。シュカブラから10分で到着、やはり2・3人の先客がいた。話し声が聞こえてくる。どうも名古屋から来ているらしい。一生懸命、クリスマスツリーの木と星空を撮っている。ラッキーだな。旅行で来て、こんな晴れた夜に遭遇できるのは、1割ぐらいの確率だろう。 写真を撮っていると、空高く飛行機のエンジン音が聞こえた。旭川空港発、羽田空港行の最終便である。丁度、クリスマスツリーの木に刺さった。 東京方面から来られるお客さんは、この便をよく利用される。旭川空港から美瑛までは15分。羽田の近くにお住まいの方は、大阪に行くより美瑛に来る方が時間的に近いという。 ただ、初めて美瑛に来る方は、新千歳空港を利用される方もいる。多くは、北海道旅行の玄関は新千歳と思い込んでいるらしい。美瑛は新千歳から2時間半はかかる。長時間運転してやっとシュカブラに着き、チェックイン。シュカブラの大きな窓から、旭川空港に着陸する飛行機を目にし、「どこかに空港があるんですか?」と聞かれることもしばしば。「そこに旭川空港がありますよ」というと、目を丸くされる。旭川空港へは、羽田から何便化ある。コロナで、運休しているものもあるが、通常に戻れば、関空便(夏季)や中部便なども。可能であれば、旭川空港を利用してほしい。 最近は、晴れた夜はヴィラの窓から正面に木星がキラキラと輝く。十勝岳連峰の裏から登って来るのである。土星や火星も。 部屋の照明を消し、テーブルキャンドルに火を灯し、星空を眺めてほしい。 ウッドデッキに出れば、天の川を行く白鳥座が美しい。

夕日に染まる十勝岳(虹と夕焼け)

2022.08.13|

ここ数日の美瑛は、1日の内で目まぐるしく天気が変わることが多い。早朝、正面の十勝岳連峰がくっきり見えていたと思うと、8時ぐらいには雲で全く見えなくなり、10時には激しい雨が降り出し、正午には青空が見えるが、また厚い雲に覆われるといった感じである。 美瑛は北海道の真ん中、上川地方と呼ばれ盆地にあるため、天気が変わりやすいといった特徴があり、平野部に比べ天気予報も当たりづらい。 なるべくドラマティックな景色を見てもらおうと、夕日夕焼け、朝日朝焼け、雲海のような霧、ダイヤモンドダストなどの情報をチェックインの際にお知らせするため、いつも色々な天気予報会社の情報とにらめっこしているが、予報が当たる確率は70%ぐらいだろうか。 一昨日も、1日の始まりは晴れであったが、曇り・雨と変わり、チェックインの16時頃には、程よく雲があり真に夕焼けになりそうな空であったため、そのことをお客様にお伝えした。しかし、18時頃には厚い雲に覆われてしまい、自然なので仕方のないことであるが、期待させてしまったのではないかと、少し残念に思った。それでも曇ってはいたが、十勝岳連峰は青く稜線がくっきりと見え、それなりに綺麗だった。自宅兼レセプションの窓から、ぼーっと眺めていると、突然、山が朱色に染まりだした。次に山の上にある雲がピンクになり、また、縦虹もかかりだした。 慌ててカメラを持ち外に飛び出すと、散歩から戻られたお客様がお二人で山と空を眺めていた。「鳥肌の立つ景色」とご主人、奥様は感動の笑顔、私はカメラを構えていたが、室内にいた妻を呼び、4人でこの絶景を眺めた。 期待してもそうならないときもあるから、期待通りやそれ以上になった時の感動も大きい。それが自然、人間にはどうにもできない。本来、人間は自然の一部だからであろう。 因みに妻の話であるが、一般的に好まれる晴れた日よりもどんよりとした雲に覆われた天気が一番好きらしい。

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