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3月 2023

キタキツネ(野生動物との距離)

2023.03.18|

最近、毎日のようにヴィラの庭でキタキツネを見かける。1年中、ほぼ毎日、ここを縄張りとしているキツネが、パトロールで通っているようで、痕跡を見かけることは珍しくはないが、暖かくなってきたこともあり、活発に動き回るようになったのか、いつも同じ時間帯(夕方)にヴィラやレセプションのすぐそばをてくてくと歩いている。リビングのソファーに腰掛け丘や山の景色を眺めていると、目の前に現れ、何食わぬ顔で通り過ぎていく。 昨日は、前職の同僚だった友人10名以上を招き、レセプションを兼ねた自宅で近況報告会のようなものを開いた。ダイニングで料理や飲み物の準備をしていると、一人が「あっ、キツネだ」と言った。外を見ると、窓から2m程離れたところを歩いている。いつものキツネだ。その場にいた友人たちは、生まれも育ちも北海道という人が多い。キツネが家のそばを通っても特に驚く様子はない。こちらの様子に気が付いたキツネも『いつもより人が多いな』というような顔をしたが、特にいつもよりも警戒するという様子もなく、しばらくすると雪に少し穴を掘り始めた。好物のネズミでも探しているのだろうかを思ったが、興奮した様子がなく、すぐに丸くなって腰を下ろした。『ふーっ』と鼻でため息をつくように完全に前足も倒すと、目を閉じて眠りだした。キツネも寛ぐヴィラ。ちょっと気を許しすぎのような気がした。 でも、このキツネは、普段は野性味のある厳しい顔で歩いているから安心だ。 『安心だ』とは何のことだろうかを思う人もいるだろう。 北海道に住むキタキツネの中には、野生の顔をしていない優しい顔をしたキツネを見かけることがある。こういった個体は、大抵、車を見かけると近寄って来るのである。それはなぜか。人間から餌を貰っているのである。こういった個体は観光地に多い。可愛いからと人の食べ物を与えてしまっているのである。人から食べ物を貰った個体は、車が通ると餌が貰えるものと思い近づきはねられることがある。また、自分で餌を獲らなくなり厳しい冬を越せず餓死することもある。 野生動物はペットでも玩具でもない。 キツネの様子はそっと見守ることが、人間にとってもキツネにとっても良いことである。 野生動物と人間は一定の距離を保つことが重要だ。

伝えたいこと

2023.03.01|

一昨日の最低気温は氷点下24.1℃、昨日の最低気温が氷点下4.8℃、日中はプラス8度まで上昇しダウンを着て作業をしていると暑いと感じるぐらいである。道路の雪は溶けグチャグチャになり、水たまりを車が走ると茶色い水が飛び散り、道路わきの雪にかかり汚い。春が近いことを告げる北海道のこの時期の景色である。 街の人たちは、春めいた日が降り注ぐ中、ここぞとばかりに自宅前の固まった雪を鉄の棒で一斉に割り始めるのである。移住したころから、放っておけばいずれ溶けてなくなるから要らぬ労力と時間ではないかと思っているが、1日でも早く春が来てほしいという道産子の思いからの行動であろう。 シュカブラには、記念旅行で来られる方が多い。コロナのため、海外に行かず新婚旅行を国内でというカップルや、誕生日を旅先でという方、そして、結婚〇〇周年という方だ。 先日、結婚30周年の旅行先として新婚旅行にも行ったという北海道を選ばれた方が来られた。しかも、結婚記念日の夜をシュカブラで過ごされるとのこと。 ご滞在中、敷地内を散歩されたり、デリバリーのお料理や室内のインテリア、そして大きな窓からの絶景を楽しまれ、シュカブラの時間を過ごされた。 それから1週間ほどした頃、この方からお手紙が届いた。 宿には、私のプロフィールや出版社に取材していただいた時の記事などが、「ご案内」と一緒においてあるのであるが、それを読んでいただいたようだった。 私が宿を始めたのが、今から2年少し前の丁度50歳のときであるが、その方も50歳を過ぎた同世代であり、以前から望んでいた飲食店をこの秋に開業されるとのことであった。 私は大病を患い身体障碍者になってから、そのまま続けることもできた公務員を早期退職し、以前からやりたいと思っていた宿を開業した。「生きているものは必ず死ぬ」とは分かってはいたが、そのことを実感すると、やりたいことをそのままに死ねないものである。 手紙には、宿においてある出版社の記事を読んでこのことを知り、「自分がやろうとしていることに対し、背中を押してもらったような気がした」との内容が綴られていた。 [...]

2月 2023

一部の困った観光客問題(ニュースの話題)

2023.02.18|

2月中旬になり、美瑛の丘は天気が安定し降雪量も減ってきた。ただ、晴れると放射冷却で日の出前の気温が氷点下20℃を下回ることも珍しくない。先日も-28.1℃を記録した。ただ、そんな時でも室内は+20℃以上はある。その差はなんと50℃、改めて北海道の住宅の断熱性能の素晴らしさを実感する。 先日、泊まられたオランダからのお客さんは、有名なラジオDJとのことであった。日本に1ヶ月以上滞在し、地元の人々と交流しながら全国を旅されているようだ。 私は英語がほぼ出来ない。相手は日本語が全くできない。さて、どうしたものかと思案したが、先ずは笑顔だ。相手もにこやかに笑っている。とりあえず、こちらも笑おう、という感じ。次にスマホを取り出し「Google翻訳」で会話。慣れるまで使いにくいが、それなりの長文も訳してくれる。 オランダはあまり雪が降り積もることはないようだ。ヴィラの室内には薪ストーブを設置しているが、これを2時間も焚けば27℃ぐらいまで室温が上がる。客人、珍しいサラサラの雪を見てかなりのハイテンションだったのか、暖かくした室内でパンツ一丁になり、ウッドデッキに出る裏口を開け、そのまま裸で真っ白な雪にダイブした。雪で埋もれたウッドデッキの上には見事なスノーエンジェルが残っていた。この方のインスタの投稿を拝見したが、滞在をとても楽しまれたのが分かった。 言葉は通じないが、楽しんでほしいと思う気持ちは通じたようだ。 先日、テレビの全国ニュースで美瑛の近況が取り上げられていた。良いニュースではない。外国人観光客の農地への不法侵入や見学時のマナーの悪さについてのものだった。 美瑛には、「クリスマスツリーの木」や「セブンスターの木」などの観光スポットがあるが、これらの木が立っているのは、農家さんの私有地である。決して観光目的に植えられてものではなく、入植した当時に隣人との土地の境界として植えたものや、一緒に畑を起こした馬や牛が亡くなった際に墓として植えたものなどだ。 私有地であり畑であるから、当然、無断で入ってはダメなところである。また、美瑛の丘にある民家は土地が広く、公園のように見えるところもある。このような民家の敷地にも入る人がいる。農地や民家の敷地入口には5か国語で「立入禁止」の看板が設置されているが、これを無視して進入する観光客やカメラマンがいるのである。 私の自宅も然り。先日は韓国人が看板を無視して立ち入った。敷地内にある大きな白樺を撮りたいからのようである。先日から時々このようなことがあり、我慢できなく今回は不法侵入として警察を呼んだ。その韓国人は現場で2時間ほど事情徴収され、その後、署へ連行されていった。 観光ルールを守らないのは、決して外国人だけではなく、日本人にもいる。一部のマナーの悪い人たちのせいで、地元の人たちはピリピリせざるを得ないばかりか、善良な旅行者も楽しさが半減する。この美しい美瑛を壊す人には来てほしくないものだ。このようなことが続けば、農家さんの営みによってできたこの美しい風景はなくなっていくだろう。これは、多くの美瑛町民が思っていることである。

吹雪の中のドライブ

2023.02.04|

丸く見えるが、三日月の光である。星と月を同時に撮るのは難しい。月に露出を合わせると星はほとんど写らないし、星が写るよう露出設定すると月は輪郭が分からなくなる。人間の目は凄い。この2つを同時に見ることが出来るのだから。 先日、来られた若いお二人、埼玉からわざわざシュカブラに泊まることをメインに来ていただいたようだ。来られる前からLINEでやり取りがあり、天気予報では荒天にならない予報であることを伝えていた。到着する日の午前中は、風もなく青空や十勝岳連峰も見え俗に言う「いい天気」だった。きっと飛行機からは綺麗な山や丘が見られているのだろうと安心していた。この日はチェックアウトさせる方がおらず、時間的に余裕があったため、13時に旭川空港までお迎えに行くことになっていた。空港に向かう途中の道からも、綺麗に山が見えていた。だが、空港に到着すると天気は急変しだした。空港ターミナルの屋根に積もった雪が強い風を受け地吹雪のように飛ばされだした。西の空には雪雲がどんどん近づいて来る。 空港で落ち合い宿に向かう道すがら、セブンスターの木やクリスマスツリーの木に立ち寄ったが、ほぼ吹雪状態になっていた。気温はマイナス6℃程度と低くないが、雪が当たり、顔が痛い。お客さんと「痛いね、痛いね」と言いながら写真を撮った。空も地面も真っ白で道の境目が分からないくらいだ。宿に到着、明日は青空を見せてあげたいと願っていた。夜になると、風が収まり少し星も見えるようになった。玄関アプローチにあるアイスキャンドルに火を灯すことにした。 翌朝、雪は降っていた。時折激しく。チェックアウト後、一緒に故・前田真三氏の写真ギャラリー拓真館に行き、Netflixのドラマ「初恋」の料理を監修した高橋よしこ氏の経営するSSAWでランチを食べ、寄り道しながら空港まで車を走らせた。やはり、今日も吹雪、どこを向いても真っ白だ。「真っ白、真っ白」とお客さん。こんなに白一色になるのも年に数回しかないが、まともにこれに当たってしまった。できれば、青空や夕陽に照らされ色付く山並みも見せてあげたかったと少し残念に思っていた。 空港に着き、お客さんから「最高でした」と、少し残念に思っていた私の気持ちを吹き飛ばすような言葉。救われた。 いつも、お客さんには宿だけではなく美瑛を十分楽しんでもらいたいと思っているが、反対にお客さんから喜びを与えられることがよくある。最高の瞬間だ。

1月 2023

雪原の影

2023.01.15|

年が明けてもう半月が経った。あっという間だ。 先週の北海道は暖かく、美瑛でも日中はプラスの気温になった。例年に比べ積雪が多かったが、雪融けが進み幹線道路はアスファルト路面が見えているところが多くなった。 こうなると、厄介なのはブラックアイスバーンなど、分かりづらい凍結路面だ。日中に溶けた雪が凝ったり、アイスバーンの上に水の膜ができていたりと、道路は天然のスケートリンクのような部分が沢山できる。 案の定、スリップして中央分離帯や路側帯の雪山に激突したりする車が多く、痛々しい車体や車が突っ込んだことが分かる道路脇の痕跡が沢山見られる。 ハンドルも切らず、まっすぐ走っているつもりでも、何故か右の方へ流されたりするのだ。こんな時に対向車が来たら、正面衝突。先日も旭川駅までお客さんを迎えに行き、宿まで戻る途中に、2台前の軽ワゴンがスリップして中央分離帯に接触し、180度回転して止まった。お客さんにとっては初めて見る光景、ビックリすると同時に、北海道の冬の様子を目の当たりにし、北国の厳しさを感じられたのではないだろうか。少し興奮されていた。 雪が降る日や、とてつもなく冷えた日ではない、冬の暖かくなる日は、気が緩みがちになるので要注意だ。 3日ほど前、快晴の夜明けがあった。十勝岳連峰の上空がオレンジに染まり、マジックアワーが終わると白み始めた山の端から眩しすぎる太陽が昇ってきた。このような斜光の時間は、丘の上に立つ一本の木を照らすと雪原に綺麗な影を作る。 太陽に照らされれば、その反対側には影ができる、当たり前のことだが、何か神秘的で幻想的だと思う。

あけましておめでとう

2023.01.01|

あけましておめでとうございます。 シュカブラかの窓から見える花火を見て、新年を迎えました。 昨年は10月から外国人の入国制限が撤廃され、大型バスに乗った韓国からの観光客が一気に増え、美瑛の街も活気づいてきました。 ただ、それに伴いマナーの悪い方も増えており、農地や民家への立入やゴミのポイ捨て、通行の妨げとなるような写真撮影をよく見かけます。 観光客が来て経済が潤うのは、大変ありがたいことですが、このようなマナーの悪い人が来ることで、美瑛の美しい景色や環境は失われ、美瑛を楽しみに来る人も減り、結果的に地域の衰退に繋がります。 全国各地、いや世界中、どこでもそうだが、その土地にはその土地なりの風土があり、それがあるからこそ地域の特色があり、他の地域から来た人が新鮮な感覚を覚え、感動することが出来る。それは、その土地の人たちの日々の生活から生まれてくるもので、守られている環境である。旅する人は、それを感じ理解してほしいと思うのである。 人間は、本能として変化や刺激を求める生物らしい。旅することもその一つであるという。 昨年は約170組のお客様がいらしたが、多くの方が、到着された時と出発される時で、表情が違うのを感じた。何となくではあるが、この地に対する私の思いを理解してくださっているような感じがするし、そのことを口にされる方もいる。 1日1組限定の宿であるため、1年でそれほど多くの方とお会いできるわけではないが、できるだけ多くの方に、旅やその土地のことを理解してもらいたいと思うのである。 今は亡き私の友人が20年前に言っていた言葉がある。 [...]

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