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4月 2021
フキノトウ
一週間ほど、所用で不在にしていました。出発前には敷地内を広く覆っていた雪もほとんどなくなり、茶色い土が見えるようになりました。雪解け水で、所々ぐちゃぐちゃとぬかるんでいます。 敷地内の法面の上、一段高くなったところに登ると、青い空、まだまだ白い大雪山、十勝岳連峰、そして芽を出し始めた植物たちがいました。春の訪れです。枯草の隙間からフキノトウが顔をのぞかせていました。 この時期、毎年フキノトウを見ると思いだすことがあります。 故郷の三重県では山に行かないとあまり目にすることがないフキノトウですが、ここ北海道では、いたるところで見ることが出来ます。北海道に移住した21年前、市役所に初登庁する日、幹線道路を車で走っていると、中央分離帯にフキノトウを発見しました。「こんなところにフキノトウが!!」と、思わず車を停めて採取したくなりました。職場に到着し、ワクワクしながら、このことを同僚に話すと、『何を驚いているんだろう?』というような顔をされたことを覚えています。北海道民にとっては、珍しくもなんともないことだったのです。 丘は日陰になった部分に雪が残っていますが、秋蒔き小麦の緑が徐々に顔をのぞかせ濃くなってきています。青い空、白い山、緑と茶色の大地、何とも言えないコントラストです。 一般的に、旅はできるだけ雨を避けたいという思いがあります。しかし、春は、中国からの黄砂の影響で霞むことが多いのです。そんな時、雨は大気中の埃や塵を流してくれ、止んだ後は、全ての物を色濃くし、最高の瞬間を見せてくれます。雨の日の旅、それはそれで良いものだと思います。 これから、ゴールデンウイークに向け、美瑛の丘は一気に慌ただしくなります。いたる所で赤や青、緑の大きなトラクターが眠りから覚めた大地をゆっくりと走ります。 シュカブラの建築工事は昨年の秋に終わったため、外構は、まだまだ土が露出し殺風景なところがあります。4000㎡の敷地をこれから徐々に整備し、これまで以上に緑にあふれ、キツネやウサギ、沢山の鳥たちの集う場所にしていきたいと思います。
3月 2021
雪融け(北海道民の気持ち)
ここ数日の美瑛は、しばしば雪がちらつくものの、どんどん雪融けが進んでいます。 1mほど積もっていた雪は50cm程になりました。雪は水になり、道路や側溝に流れ込みます。 北海道で、この時期によく見かけるのは、玄関先にできた氷を割るおじさんです。夕方溶けた雪は側溝などに流れ切らず、夜、気温が下がると道路やアプローチにへばりつくように氷になります。おじさんは、朝起きてこれを一生懸命割るのです。 移住したころは、「なぜ、一生懸命汗を流しながら割っているのか、暖かくなれば自然に溶けるのに」などと感じたものでした。 でも、この作業には、意味があることがわかりました。 まず一つは、氷の表面が溶けてつるつるで危険であること、そして、もう一つは、少しでも早く雪がなくなって春を迎えたいという道民の心です。道民には「白い雪の世界に閉じ込められた」という感覚があるそうです。11月から降り出した雪は、大地を雪と氷の世界に変えます。今でこそ、住宅の断熱性能が向上し、部屋はポカポカですが、昔の北海道の家は粗末な作りで、文化財として現存するものを見ると、「こんな家でよく凍死しなかった」と思えるようなものばかりです。 このようなことが、今でも道民に脈々を受け継がれているのだと感じます。 今年は、全国的に桜の開花が早いとのことですね。 桜といえば、入学式です。私も小学校入学の時は三重県にいたので、校門の前で桜を入れて両親と記念撮影をしました。 例年、美瑛の桜の開花はGWごろです。ソメイヨシノではなくピンク色の濃いエゾヤマザクラがメインでとても綺麗です。道民の花見といえば、ジンギスカンです。桜の木の下で、みんなで焼肉のコンロを囲み食べて飲んでの大盛り上がりで、春が来たとはじけます
3.11(前向きに生きること)
今日は3月11日、東日本大震災が発生した日ですね。当時、私は旭川市役所に勤めており勤務時間中でした。 ちょうどその時期は長く断続的に続く目眩を患っており、廊下を歩いているとクラクラとしたため、また、目眩が来たかと思い自席に戻りました。すると同僚たちがザワザワをしています。旭川は地震が少ない街で滅多に体に感じるような揺れはありません。 私も2000年に移住してからその時まで、地震を感じることが有りませんでした。そのような旭川があれだけ揺れたのだから、日本の何処かでとんでもないことが起きているのではないかと直感しました。その日の夕方、帰宅してテレビをつけるとどこのテレビ局も地震のニュースでした。 津波が街を飲み込む映像、津波が去った後の無残な様子。写真でしか見たことはありませんが東京大空襲などの戦争の後のように感じました。 それから、毎日毎日、津波と避難所の映像。直後から、旭川市役所にも応援要請が来ていました。地震から1月たった頃、私に保健所の保健師さん2名と一緒に応援に行ってくれないかと声がかかり、ちょうど自分にも何か出来ないだろうかと思っていたので、「はい、行ってまいります」と即答しました。 確か出発は5月3日だったと思います。仙台空港に降り立ち名取市や多賀城市を通るとテレビの映像では感じることのできない凄まじい地震の爪痕を目の当たりにしました。 派遣先は仙台市から北東にある「七ヶ浜町」という町の役場です。落ち込んでいるだろう皆さんになんて声を掛けたらいいのだろうと思い登庁しましたが様子は少し違いました。本心は辛いのだろうと思いますが、役場の方も「綺麗さっぱり全部流された」「両親も行方不明だ」と笑いながら話しています。 「前を向かないと進まないから」と力強い言葉。内心はすごく辛く生活も大変なんだと思いますが、役場を訪れる町民も含め皆さん今できることを一生懸命取り組んでいました。 滞在は約10日間で少しだけ支援はできたと思いますが、それよりも前向きに生きることの大切さを沢山学ばせて頂く機会になりました。 その後、私が大病を患い一度諦め掛けた夢を、再度喚び起させる糧にもなったと思います。 [...]
2月 2021
雪の色
今朝の美瑛の気温は氷点下13度。このところ、日中は暖かく、朝は冷え込む日が続いています。 夜のうちに雪が降ることが多く、朝、窓の外を眺めるとサラサラの新雪が積もっており、朝日が雪原を照らします。雪の結晶に反射した光がキラキラと輝き、影になった部分は青く見えます。 雪は白一色なのに、金色に見えたり、銀色に見えたり、青く見えたりと不思議な光景です。 朝食もそこそこに、とりあえず氷点下の中を散歩です。敷地内には、あちこちにキタキツネやウサギが走り回った形跡があり、時々、ウサギがキツネに追われているようなものも見られます。ウサギの足跡が頻繁についているところを見ると、キツネはまだウサギを捕まえられていないのが分かります。 人の足跡、手の跡、私も綺麗な雪面に後を残します。そして、雪面に大の字に寝転がり、青い空とゆっくり流れる雲を眺めます。雪の中に30㎝ぐらい埋もれると、サラサラの雪が少しだけ顔にかかり、耳からは「シーン」とした音が聞こえてくるようです。 雪の中は暖かい。立っているより座っているより、雪に埋もれるように寝転ぶとなぜか暖かく感じます。 今シーズンは雪の日が多かったため、大雪山や十勝岳連峰が見られる日が少ない冬ですが、3月に入ると晴れる日が多いとの天気予報です。 雪に覆われた山が、朝日に照らされ金色や銀色に輝き、夕日に照らされピンクやオレンジに染まる日が増えてくるのではないでしょうか。 天気が安定してくると敷地内でのスノーシュー散歩が楽しいです。朝起きて散歩してからの遅めの朝食。 忙しい毎日から離れて、大切な人と時間を忘れてダラダラのんびり過ごす日が必要ですね。
シュカブラ(雪の造形)
先週は、「この先1週間はプラスの気温お日が増えるでしょう」と言いましたが、確かに暖かい日が増えました。しかし、この1週間は雪が非常に多く、吹雪の日が2日間続きました。日中は気温が上がり、雪の表面が固くなり、夜はその上に雪が降り、強い風が吹く。来ました、シュカブラ(風雪紋)ができやすい日です。「明日の朝はどんな雪の造形が出来ているのだろう」と、わくわくしながら布団に入り、朝も早く目が覚め、窓から外を眺めます。丘に大きな波や細かな波の模様が出来ています。 美瑛の丘は、山岳地帯にできるような険しい模様ではなく、やさしい感じのシュカブラができることが多いのですが、今日は凄いものも出来ていました。敷地内には、どこかの山の尾根かと思えるようなシュカブラが。大きな波が何層にもなって、襲い掛かってくるような形です。 敷地内をブラブラと散策すると、降った雪が吹き飛ばされて、全く積もっていないところや新に60㎝ぐらい積もっているところもあります。敷地から接道へ出る通路は50mぐらいありますが、雪に埋もれています。敷地入口付近に設置した新聞受けが見当たりません。 美しい雪の模様を一通り眺め、さぁ、除雪です。トラクターに付けたスノーブロアという機械で通路や駐車スペースの雪を吹き飛ばします。機械はトラクターの後ろに付いているので、バックしながらの作業です。1時間半ぐらいトラクターと手作業での除雪。 やっと出てきました、新聞受け。新聞受けにはちゃんと今日の新聞が入っていました。 今年は雪が多めです。Villa Skavlaの看板も雪でだんだん見えづらくなってきました。看板が埋もれてしまっても大丈夫。Villa Skavlaの道路向かいには、ポテトチップスで有名な某菓子メーカーの大きな倉庫があり、お客様が迷うことはないでしょう。
丘を散歩、クリスマスツリーの木(モノクロ)
立春を迎えましたが、北海道美瑛町はまだまだ冬真っただ中です。昨年より晴れて冷え込む日が少ないようで、その分雪は多いです。十勝岳や大雪山がくっきり見える日もあまりありません。 最近、丘を散策していなかったので、用事で美瑛の街に出かけた際に足を延ばして、車で丘をブラブラしてきました。雲の具合と太陽の角度を見ながらなんとなく走っていると、ここにたどり着きました。「クリスマスツリーの木」です。 グッドタイミングです。木のトップに太陽が重なり、手前には木の影が伸びています。写真だけ見ていると、派手さがなくシンプルで静かな様子ですが、このタイミングを狙っていたのでしょう、周りには一眼レフやミラーレスカメラ、また、スマホのレンズを木に向けて構えている人が沢山いました。パシャパシャというシャッター音が沢山聞こえます。多くの方が「このチャンスを逃さぬよう」と、少しセカセカ慌てた様子でした。 慌てて撮るとそれが写真にも表現されてしまうような気がします。 私はシャッターを切る前に、なるべく、他のものを頭から消し、無に近い状態で撮れるよう深呼吸し、心をニュートラルにします。 そのせいか、同じ写真であっても、見る人によって「厳しい冬の感じが伝わってきますね」や「メルヘンチックですね」や「凛としていますね」など、感じ方が様々なようです。現物を見ても人それぞれ感じ方が違うので、私はこれでいいのだと思っています。 車を進めると、雪原に茶色い点が見えました。「何だろう」と思い近づくとキタキツネです。立っているのでもなく、歩いてもなく、座っているのでもなく、ふかふかの雪面に伏せています。ネズミでも捕まえて雪面に押さえつけているのでもなさそうです。何か穏やかな表情で「寛いでいる」といった表現が最もふさわしいと思えるような様子でした。 「ちょっと撮らせてくれないかな」と思いレンズを向けると、「邪魔するな」というように、こちらを何度も振り返りながら林に消えていきました。 この先一週間は、日中プラスの気温になる日も多く徐々に春を感じる日が増えるでしょう。





